夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

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小規模な会社の間接費は仕掛品に配賦しなくていい?

最近エクセルで簡易な個別原価計算の管理シートを作成しているので、個別原価計算の参考書などをめくって勉強しています。

勉強しながら少し悩むのは、間接費の配賦をどの程度やるべきなのかなあということ。
個々の案件に直課できる原価はこのシートで管理できるようになっていますが、間接費についてはこのシートでは管理できないので、配賦するためには別の方法で管理する必要があります。
間接費の配賦は工数管理など行って、案件ごとに配賦することが利益管理の面でも税務的にも大事ですが、そもそも一部屋で数人とかでやっているような会社の場合、工数管理はおろか原価と販管費も混然一体になってしまっているようなこともままあるような気がしますし、そういう場合はどうやって間接費を完成原価や仕掛品に配賦するのがいいのでしょうか?

税務的には損金算入できる原価については以下のようになっているので、公正妥当な会計処理基準に従って原価計算を行う必要があります。

法人税法第二十二条 
内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。

ということで、公正妥当な会計処理基準に従って原価計算をすると当然ですが、間接費も収益に係る原価や仕掛品に配賦することが必要になります。


ただ法人税の基本通達には、以下のようなものがあります。

法人税法基本通達5-1-5
(製造間接費の製造原価への配賦)
法人の事業の規模が小規模である等のため製造間接費を製品、半製品又は仕掛品に配賦することが困難である場合には、その製造間接費を半製品及び仕掛品の製造原価に配賦しないで製品の製造原価だけに配賦することができる。

この通達を考えると税務的には、小規模な会社だったら例外として間接費は製品(完成原価)に割り振って、仕掛品とかには配賦しなくてもやむを得ないことになるのかな。
まあ理想は原価部門と販管費部門をきちんと分けて、請負金額比とかじゃなくて工数管理もきちんとやって、しっかり間接費も配賦できるようにするのがいいのだろうけど。
「小規模」がどのぐらいの会社という定義もないですけど、うちのお客様程度の規模だったら「製造間接費を製品、半製品又は仕掛品に配賦することが困難」っていうことになるのかなあ・・・。


ただこの管理シート、もともとお客様が作っていた資料に近づけて作って見たのですが、

売上と直課できる費用だけで計算した利益はほぼほぼ変動利益になるので、入金表とかと組み合わせると、固定費を賄う売上が上がっているのかとかこれから必要な売上がすぐに把握できるようになってるんですね。

自身があまり資金繰りに悩まない業種なので「何でこんな資料が必要なんだろ?」とか思いながら作っていたのですが(^^;、やっぱり現場で必要に迫られて作る資料は、当たり前ですが作る方のニーズに応えるようになっているんですよねえ。自分で作って追体験しないと分からないものです。
→このエクセルファイルは、こちらのページからダウンロードできます。


*週末は子供と飛行機の博物館に

熱心に説明板を見てるけど、何に興味があるのかしら?


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