夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

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エクセルのOCR(画像からのデータ取得)は、データ取込に使えるか?

前回の日記で
ScanSnap単体で「日付_金額_店名」でOCRをかけると、手書きの領収書以外は結構いい精度で取り込めるんですよね」
と書いたのですが、しばらく前にその話を知り合いの税理士さんにしたところ
「90%合っていても10%間違ってたら、その間違い探すのに手間がかかるから使えないわ」
みたいなことを言われたことがありました。
確かに金額微妙に間違えたまま取り込んでしまって、あとで間違い探しで訂正ということになったら、手入力の方が早かったというオチにもなりかねないですよね・・・。

他に何かいい方法がないかなあと考えていたのですが、ふとエクセルでも画像にOCRかけてテキストデータに変換できる機能があったことを思い出したので、取引データへの変換に使えるか試してみました。


エクセルはメニューの以下のアイコンを選択すると、画像データからOCRで、画像上の文字をテキストデータに変換することができます。

ただ日本語の変換は正直微妙で、取引先名とかそのままレシートの取り込みには使うことはできないかなあという感じです。
その取引先名、10月からインボイス番号がレシートに記載されるようになっているので、「T+番号」のインボイス番号さえ拾うことができれば国税庁APIに投げて返ってきた業者名を取得すればいいんだから、もしかしたら使いものになるかも・・・。


ということで、試しに手元のレシートをスキャンして、エクセルで取り込んでみました。


  • 郵便局のレシート


  • 本屋さんのレシート


  • コンビニのレシート



  • パン屋さん(印刷がかすれると厳しい・・・)


  • スーパー


  • 百均ショップ


取り込んでみると、必要な情報である「インボイス番号」と「日付」と「金額」は、ほぼ完璧に取り込めている感じ。
金額から取引金額を選択させるのはちょっと面倒そうだけど、以前作った次の「電子取引データ保存シート」と同じ仕組みを使えば、意外と簡単にデータ抽出できるかも。

www.youtube.com



上手く実務に使えそうな方法を考えてみたいと思います。



神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

NASだと客観的な時刻証明機能は難しいのかしら・・・?

前回書いたNASでスキャナ保存ができるかなあという話。
実際にスキャナ保存の要件を満たすのかしらと、Synology社のNASの訂正削除ができなくなる「WriteOnce」の機能や、ScanSnapとの連携について解説されたネット記事があったので読んでみました。
internet.watch.impress.co.jp


スキャナ保存の要件には、次の国税庁のパンフレットのように訂正削除の禁止(ヴァージョン管理)の他、「タイムススタンプの付与」というものもあります。

タイムスタンプの付与の他、「入力期間内にスキャナ保存したことを確認できる場合には、このタイムスタンプの付与要件に代えることができます」ということで、データの保存がされた日時を客観的に証明できる場合もOKというようになっています。


具体的にどういうものかというと、次の電子帳簿保存法取扱通達のように、

電子帳簿保存法取扱通達
国税関係書類に係る記録事項の入力を速やかに行ったこと等を確認することができる場合(タイムスタンプを付す代わりに改ざん不可等のシステムを使用して保存する場合))
4-26
規則第2条第6項第2号ロ((タイムスタンプの付与))に掲げる要件に代えることができる同号柱書に規定する「当該保存義務者が同号(規則第2条第6項第1号)イ又はロに掲げる方法により当該国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認することができる場合」については、例えば、他者が提供するクラウドサーバ(同項第2号ハに掲げる電子計算機処理システムの要件を満たすものに限る。)により保存を行い、当該クラウドサーバがNTP(Network Time Protocol)サーバと同期するなどにより、その国税関係書類に係る記録事項の入力がその作成又は受領後、速やかに行われたこと(その国税関係書類の作成又は受領から当該入力までの各事務の処理に関する規程を定めている場合にあってはその国税関係書類に係る記録事項の入力がその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行われたこと)の確認ができるようにその保存日時の証明が客観的に担保されている場合が該当する。

例示として以下のようなものが挙げられています。

  • 他者が提供するクラウドサーバにより保存を行い、
  • 当該クラウドサーバがNTP(Network Time Protocol)サーバと同期するなどにより、その国税関係書類に係る記録事項の入力がその作成又は受領後、速やかに行われたことの確認ができるようにその保存日時の証明が客観的に担保されている場合が該当する。


また国税庁のQ&Aでは、タイムスタンプ付与以外の方法として、以下のように回答されています。
電子帳簿保存法一問一答(Q&A)〜令和4年1月1日以後に保存等を開始する方〜|国税庁

問30
訂正削除履歴の残る(あるいは訂正削除できない)システムに保存すれば、タイムスタンプの付与要件に代えることができるでしょうか。


【回答】
そのシステムに入力期間内に入力したことを確認できる時刻証明機能を備えていれば、タイムスタンプの付与要件に代えることができます。 なお、この場合であっても、スキャナ保存に係る他の要件を満たす必要があることにご留意ください。


【解説】
国税関係書類についてスキャナ保存する場合には、その国税関係書類に係る記録事項にタイムスタンプを付与することが要件として規定されており(規2⑥二ロ)、当該保存義務者が訂正削除履歴の残る又は訂正削除できないシステムに保存する方法により規則第2条第6項第1号の入力期限内に当該国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認することができる場合には、その確認をもって当該タイムスタンプの付与要件に代えることができることとされています。
この訂正削除履歴の残る(あるいは訂正削除ができない)システムでタイムスタンプ付与の代替要件を満たすためには、タイムスタンプが果たす機能である、ある時点以降変更を行っていないことの証明が必要となり、保存義務者が合理的な方法でこの期間制限内に入力したことを証明する必要があると考えられます。
その方法として、取扱通達4-26では例えば、SaaS型のクラウドサービスが稼働するサーバ(自社システムによる時刻の改ざん可能性を排除したシステム)がNTPサーバ(ネットワーク上で現在時刻を配信するためのサーバ)と同期しており、かつ、スキャナデータが保存された時刻の記録及びその時刻が変更されていないことを確認できるなど、客観的にそのデータ保存の正確性を担保することができる場合が明示されています。
なお、タイムスタンプの付与要件に代えて訂正削除履歴の残る(あるいは訂正削除できない)システムに保存する場合であっても、スキャナ保存に係る他の要件を満たす必要があることにご留意ください。

問31
タイムスタンプの付与要件に代えて入力期間内に訂正削除履歴の残るシステムに格納することとする場合には、例えば、他社が提供するクラウドサーバにより保存を行い、当該クラウドサーバについて客観的な時刻証明機能を備えている必要があるとのことですが、自社システムで満たすことは可能でしょうか。


【回答】
時刻証明機能を他社へ提供しているベンダー企業以外は自社システムによりタイムスタンプ付与の代替要件を満たすことはできないと考えられます。


【解説】
自社システムについては、保存された時刻の記録についての非改ざん性を完全に証明することはできないため、取扱通達4-26が求めるように保存日時の証明が客観的に担保されている場合に該当しないことから、原則として自社システムで当該代替要件を満たすことはできません。 ただし、時刻証明機能を備えたクラウドサービス等を他社へ提供しているベンダー企業等の場合には、サービスの提供を受けている利用者(第三者)との関係性から当該システムの保存時刻の非改ざん性が認められることから、自社システムであっても例外的に客観性を担保し得ると考えられます。
したがって、当該サービスを提供しているベンダー企業以外で自社システムを使用して保存時に満たすべき要件を充足しようとする場合には、代替要件によらずタイムスタンプを付与することが必要となります。

問34
訂正削除を行うことができないシステムとは、どのようなシステムであれば要件を満たしているといえるのでしょうか。


【回答】 画像データを全く変更できないシステムであり、かつ、保存されているデータが読み取り直後のデータであることを証明できるシステムであれば、スキャナ保存における訂正又は削除を行うことができないものとして取り扱われます。


【解説】 スキャナ保存における訂正又は削除の履歴の確保の要件は、訂正又は削除前のデータを確実に確認できることを目的にしたものですので、訂正削除ができないシステムで当該要件を満たす場合には、以下のようなシステムであれば、要件を満たすものとして取り扱われます。 なお、訂正又は削除の履歴を確保しているシステムから、訂正削除ができないシステムへデータを移行する場合には、訂正又は削除の履歴も併せて移行する必要があります。

○ 訂正削除ができないシステムの例
内容の書き換えができない保存媒体の場合で、保存媒体へのデータ記録年月日の記録、保存媒体自体に変更又は複製できない一連番号等を記録し、保存媒体自体の差し替え及び破棄を防止するなど、保存媒体自体の管理が適切に行われていることなどにより、保存されているデータが読み取り直後のデータであることを証明できるようなシステム(具体的には、例えば、他者であるクラウド事業者が提供するクラウドサービスにおいてスキャナ保存し、利用者側では訂正削除できないクラウドシステム)

この3つのQ&Aともに「クラウドシステム」や「クラウドサーバ」を使うことが例として挙げられていて、タイムスタンプを押さない場合は専用のクラウドシステムを使うのが当然って感じになってますよね(^^;。
特に問31は「自社システムによりタイムスタンプ付与の代替要件を満たすことはできないと考えられます」ということで、クラウドシステム以外の選択の余地がないような書きぶりです。
タイムスタンプにしても専用のクラウドシステムにしても新たな費用が継続的に発生するのに、どうしてもどちらかを使ってもらいたいのでしょうかねえ・・・。やはりNASのような自社システムだと、客観的な時刻証明機能は難しいとしたいのでしょうか?


ちなみにNASの時刻証明機能ですが、このSynology社のNASだと
kb.synology.com
ということで、時刻はNTPサーバと同期することはできるようになっているみたいです。


まあこの訂正削除の禁止(ヴァージョン管理)要件やタイムスタンプ要件は、スキャナ保存したデータが読取った直後のデータであること証明することなのでしょうから、NASでも書き換えができないように設定したうえで、時刻はNTPサーバと同期するようにしていれば、問題はないように思えます。

  • ソフト上、データの訂正・削除ができないように設定したうえで
  • 資料の訂正・削除を行った場合には、訂正・削除前のデータは併存で残るようにして(データの訂正・削除ができなければ、当然新旧が併存する)
  • 入力期限内に入力されていることは、NTPサーバとの同期機能で確認できる(訂正削除ができなくとも、NTPサーバとの同期を一時的に切って保存するとか、時刻偽装の余地が排除できないのかなあ・・・?)

のだったら、タイムスタンプかクラウドシステムを使わなくても、NASの自社システムでもいけるのじゃないのかなあ。
もうちょっと調べてみたいと思います。


※前に作った動画ですが、ScanSnap単体で「日付_金額_店名」でOCRをかけると、手書きの領収書以外は結構いい精度で取り込めるんですよね。

www.youtube.com
NASへの記録がスキャナ保存の要件を満たせば、スキャナ保存からクラウドの同期で会計事務所とのデータ共有、会計ソフトへのデータ取込まで費用をかけずに一気通貫で行けるような気がするんだけどなあ。
何とかなればいいのだけれども・・・。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

NASでスキャナ保存?そんな方法もあるんだ

私の書いた本

ですが、今年も増刷していただけることになりました!ありがとうございますm(_ _)m。


増刷にあたって電子帳簿保存法の部分を加筆したりしていたのですが、義務化される電子取引データ保存以外の「電子帳簿等保存」と「スキャナ保存の部分」は、容認規定ということもありどうしても申し訳程度の解説に・・・(^^;。

電子帳簿等保存の方は、会計ソフトを使っていたりパソコン上で書類を作成していたら特にハードルは高くないと思うのですが、一筋縄には行かないかなと思うのはスキャナ保存。
上記表の「必要なもの」にある「訂正削除履歴が残る又は訂正削除できないクラウド等に保存」という要件がハードル高い感じです。

弊所のお客様でも「経理書類の保管はかさばるし、スキャナでデータにして保存していいなら、スキャンして捨ててしまいたい」と、スキャナ保存に前向きな人は一定数いらっしゃったのですが、この「訂正削除履歴が残る又は訂正削除できないクラウド等に保存」という要件のところで全員諦めてしまうことに。

DropboxやOneDrive、GoogleDriveといったクラウドストレージを使っている人は多いですし、スキャナ保存とは関係なく従来より紙保管と並行してクラウドストレージにスキャンした経理書類を保管して、弊所とデータ共有してくださる方もいるのですが、自分の業務に必要のない「訂正削除履歴が残る又は訂正削除できないクラウドストレージ」を使っているような方は当然ゼロ。
かといってスキャナ保存のために、月1万円とかお金を払って新しく要件を満たすクラウドストレージを契約するのも業腹だと、そこで終了になってしまいます。


ネックは「毎月お金払って専用のクラウドストレージやシステム導入するくらいなら、紙保管でいいわ」ということなので、何か固定費不要ないい方法がないかなあと思っていたのですが、Synologyという会社のNASは標準でファイルを書き込んだ後ロックして訂正削除ができないようにしたり、訂正削除の履歴を残したりできるみたいですね。
event.synology.com

それに標準でDropboxやOneDrive、GoogleDriveなどのクラウドストレージと同期する機能もあるみたい。
www.synology.com

あとはScanSnapとPCなしで直接接続できるのも便利そう。
event.synology.com


NASでスキャンデータを保存して、今使っているクラウドストレージと同期して運用する方法だったら、最初にNASを購入する数万円の初期投資以外、毎月発生するような固定費用はないですし、検討してくださる方もいらっしゃるかも。
まあでも、まず最初に自分で試してみないとダメですよね・・・。


✳︎久しぶりに一人で新幹線

若い頃はずっと本を読んだりパソコン叩いたりしていたけど、最近は電車に乗ったらぼーっとしていることが増えたような…。


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メリットがないと、テンション低い・・・

再来月からのインボイス制度が迫ってきて、インボイス制度とともに電子帳簿保存法の話をする機会が増えてきました。
電子帳簿保存法といっても電子取引データ保存の話しか課題になりませんが、次のように色々なパターンがある保存方法。

だいたい1番の「完全な検索機能を備えた原則的な方法」か、5番の「猶予措置」の二択になったうえで、「どっちも嫌だけど、とりあえず猶予措置でいいかな」という結論になる場合が多い感じです(^^;。


電子取引データが月10件もない場合。また請求書の受け取りから支払い、記帳まで一人が担当していて、データを共有する必要がないような小さな会社の場合・・・。
そんな会社で電子取引データを検索可能なデータにして、会計ソフトに取り込めるようにしても、電子取引データだけをクラウドに保管して共有できるようにしても、メリットが特になく自然テンションが下がることに。
月数件だったら会計ソフトも手打ちの方が早いし、今までと同様印刷した上でデータを適当なフォルダに放り込む方が楽と言われたら、そうですよねとしか言いようがないですし。
「完全な検索機能を備えた原則的な方法」に前向きに取り組んでもらうためには、何かメリットが提示できればいいのですけど、こちらも正直思いつかないし。
予措置は要件の緩和と引き換えに、税務調査等で電子データを有無を言わせずダウンロードさせる「ダウンロード要件」が紐づきだし、電子データの保存ができてなければ電子帳簿保存法の法定要件を欠いて、青色申告取消しとかもあり得るとかいうマイナスの話を積極的にすべきなのかしら?ただダウンロード要件とか、今までない概念をうまく説明するのも難しいですよねえ・・・。うーん。


ソフトバンクの利用明細にもインボイス番号が記載されるようになったみたいなので、エクセルでの自動取込を試してみました。


インボイス番号があれば、取引先名をほぼ間違えずに取り込めますよね。もっと色々なサンプルがあればいいのですが、10月から記載というところがやっぱり多いのかしら・・・。

www.youtube.com


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

猶予措置って、誰かにプラスになることあるのかしら?

前回の日記にも書いていた、所属する支部での研修会が終わってほっと一息。
人前で話をするのはやっぱりなかなか慣れないですよねえ・・・。レジュメに沿って話をしていくのがいっぱいいっぱいで、立て板に水といった感じで話をするのはなかなかできません。


研修が終わったところで、国税庁HPに新しい電子帳簿保存法のパンフレットがアップされているのに気づいたのですが、終わった研修と同様来年の1月から義務化される電子取引データの保存方法に絞った内容になってるんですよね。

これだったら研修会でも紹介できればよかったな。なかなかうまくいかないものです。
↓このパンフレットは以下のリンク先で確認できます。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_01.pdf


このパンフレットでいいなと思ったのは、次のフローチャート

矢印を追っていけば、法に従った処理をするためにはどんな要件を満たす必要があるのか、どの要件を満たせない場合に猶予措置の適用を受けることになるのかが、今までのパンフレットより分かりやすく説明されているような気がします。


ただ猶予措置を使うと、現状と比べてデータの保存をするという手間が増えるだけで、お客様の業務の効率化には何一つプラスになることがないのですよね。
それに調査する側にも、とりあえずデータを検索要件なしで保存するだけで、整理した印刷物を別途保管するという猶予措置の場合、データ保存にどんなメリットがあるのかいまいち想像が及びません。適当に保存されて検索もできないデータはうっちゃって、印刷して整理された紙の資料を見る方がきっと効率的なはず・・・。

先日お伺いしたお客様も、とりあえず猶予措置でいいかなという話になったのですが、「なんでこんな面倒くさいだけの処理を導入して、国には何かいいことあるの?」と聞かれて上手く答えることができませんでした(^^;。
きっと猶予措置だと、調査する側も特に今までと何も変わらない手続きの流れになるような気がしますが、何でこんな規定を設けたのでしょうね?


私の事務所のホームページで公開している「電子取引データ保存シート」。
インボイス番号で取引先名を引っ張る機能を付けてから、取引先名の自動取得の確度も飛躍的に上がったような気がします。
www.youtube.com
連続取込がぴしっと決まると気持ちいいですよね(*^^*)。


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久しぶりに研修講師

今月の27日に、所属する支部の研修会で久しぶりに研修講師をすることになりました。


研修テーマは電子帳簿保存法のうち、電子取引データの保存方法とデータの活用方法。

前半の研修会で、電子帳簿保存法における電子取引データ保存の概要を説明した後、後半は相談会として、次の動画のような自動でPDFファイルから「取引日付」、「金額」、「取引先名」を抽出し、検索要件を満たす索引簿の作成とファイルのリネームを行うExcelファイルをお配りして、具体的な使い方を解説する予定にしています。

www.youtube.com
このエクセルファイルは、こちらからダウンロードできます


電子取引データの保存ですが、「猶予措置」ができたことで今まで通り、電子取引データを書面で印刷して保管しておけばいいんじゃないのとか言われることもありますが、猶予措置の適用を受ける場合次のように書面印刷だけではなく「ダウンロードの求め(要求)」にも応じる必要があります。


このダウンロードの求めについて、先月末に通達とQ&Aがでたので読んでみたのですが、割と厳しそうですよね。

7-9
規則第2条第2項第3号及び第6項、第4条第1項並びに第5条第5項の「国税に関する法律の規定による……電磁的記録の提示又は提出の要求に応じること」とは、法の定めるところにより備付け及び保存が行われている国税関係帳簿又は保存が行われている国税関係書類若しくは電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、税務職員から提示又は提出の要求(以下7-9において「ダウンロードの求め」という。)があった場合に、そのダウンロードの求めに応じられる状態で電磁的記録の保存等を行い、かつ、実際にそのダウンロードの求めがあった場合には、その求めに応じることをいうのであり、「その要求に応じること」とは、当該職員の求めの全てに応じた場合をいうのであって、その求めに一部でも応じない場合はこれらの規定の適用(電子帳簿等保存制度の適用・検索機能の確保の要件の緩和)は受けられないことに留意する。


したがって、その求めに一部でも応じず、かつ、規則第2条第6項第5号に掲げる要件(検索機能の確保に関する要件の全て)又は第5条第5項に定める要件(優良な電子帳簿に関する要件。なお、国税関係書類については、これに相当する要件)が備わっていなかった場合には、規則第2条第2項、第3項若しくは第6項、第3条又は第4条第1項の規定の適用に当たって、要件に従って保存等が行われていないこととなるから、その保存等がされている電磁的記録又は電子計算機出力マイクロフィルム国税関係帳簿又は国税関係書類とはみなされないこととなる(電子取引の取引情報に係る電磁的記録については国税関係書類以外の書類とみなされないこととなる)ことに留意する。


また、当該ダウンロードの求めの対象については、法の定めるところにより備付け及び保存が行われている国税関係帳簿又は保存が行われている国税関係書類若しくは電子取引の取引情報に係る電磁的記録が対象となり、ダウンロードの求めに応じて行われる当該電磁的記録の提出については、税務職員の求めた状態で提出される必要があることに留意する。

ダウンロード要求に一部でも応じられなければ猶予措置はアウトで、その場合に検索要件などを満たしていなかったら(猶予措置を適用するぐらいだとまず満たしていないでしょうし)、本来の要件もアウトで終了って感じになるんですよね・・・。


Q&Aを読んでも、印刷したものを出したりディスプレイ表示するだけではダメで「電磁的記録を複製した写しとしての電磁的記録の提出」ができないとダメみたいですね。

電磁的記録のダウンロードの求めについては、あくまで電磁的記録を複製した写しとしての電磁的記録の提出を求めるものであり、保存している電磁的記録を出力した書面を提示又は提出したり、電磁的記録を出力したディスプレイの画面を提示したりしたとしても、ここでいうダウンロード等の求めに応じたこととはならないことに留意する

なんだかこんな感じだと、猶予措置の適用を受けても、ちゃんとダウンロード要求に応じられるような電子取引データの保存ができないってリスクは、小さな会社だとそれなりというかかなりありそうな気がしますよね・・・。
やっぱりエクセルの索引簿でもいいから、小さな会社も検索要件を何とか満たすようにしておくのが無難なのかもしれませんね。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です