夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

事務所ホームページはこちらです→神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所

源泉徴収票を28年版に変更しました

私の事務所のホームページで公開しているエクセルの「給与・賞与・年末調整自動計算シート」。前々から源泉徴収票を、28年から変わったA5サイズに変更してほしいとのご要望をいただいていたのですが、確定申告も終わって時間ができたので、変更してみました。
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サイズが変わっただけですぐに修正できるかと思っていたのですが、意外と面倒で手間取ってしまいました・・・。


扶養控除の対象者の名前にフリガナが必要となったり、扶養控除対象者が別欄になった分摘要の記載事項がシンプルになっていますね。
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住宅ローン控除の明細は、ちょっと細かくなっています。
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給与支払報告書もA5サイズで印刷できます。
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ただマイナンバーは、今のところは手書き仕様です。エクセルでマイナンバーを管理する場合、何かいい方法はあるのかなあ?
まあマイナンバー空欄でも有効は有効なので(^^;、今後の課題です。


※先週からNHKの「Why!?プログラミング」という子供向け番組を見ています。
www.nhk.or.jp
私がVBAに興味を持ったきっかけは、最初に入った会社の先輩が経理の仕事をVBAで自動化して楽をしているのを見たことだったのですが、簡単なことなら文系の人間でもコンピュータを自分の思った通りに動かすことができて、仕事をちゃっちゃと終わらせることができるので、それを知ってもらうきっかけを私も作ることができればなあなんて思ってしまいます。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

耐用年数が間違っていたら、未償却残高を増やしていいのか?

私の所属する近畿青年税理士連盟大阪支部で月に一度、実務で悩んだり考えさせられたりするケースを持ち寄って会員同士でワイワイと討論する会を開催しているのですが、次回は私がネタを一つ持って行くこととなりました。


何を持って行こうかなとふと思いついたのが、所得税減価償却費について、税務調査などで耐用年数誤りが判明して減価償却費を訂正した場合に、未償却残高も正しい耐用年数に基づいて一から計算することは問題ないのかというネタです。
例えば正しい耐用年数が30年のところ、20年の償却率で10年間減価償却していたところ、税務調査で耐用年数誤りを指摘され3年分の償却費を是正されたときに、それ以前の7年間も含めた未償却残高も、30年の償却率で一から計算し直した金額に増やして、もう一度償却費として必要経費にしていいのでしょうか?
以前にもこういう話を聞いたことがあったのですが、しっかり調べたことがなかったので、今回少し確認してみました。


所得税減価償却は、損金経理が求められる法人税と違って以下の法49条と令131条の通り、採用した償却方法で計算した金額が強制的に必要経費となります。

減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)
所得税法第四十九条
居住者のその年十二月三十一日において有する減価償却資産につきその償却費として第三十七条(必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその者が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額とする。
2  前項の選定をすることができる償却の方法の特例、償却の方法の選定の手続、償却費の計算の基礎となる減価償却資産の取得価額、減価償却資産について支出する金額のうち使用可能期間を延長させる部分等に対応する金額を減価償却資産の取得価額とする特例その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。


減価償却資産の償却費の計算)
所得税法施行令第百三十一条  居住者の有する減価償却資産につきその償却費としてその者の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、当該資産につきその者が採用している償却の方法に基づいて計算した金額とする。

そのため納税者の任意で償却費は計算できず、正しい耐用年数で計算した償却費がそのまま必要経費となります。
この理屈で言えば、減価償却資産を取得した時点から、正しい耐用年数で償却費が計算されているということになるので、未償却残高もその償却費の累計額を控除した金額になります。


そして更正・決定等は、以下の国税通則法70条で期間制限があるので、それ以前のものは是正が及ばないことになります。

国税の更正、決定等の期間制限)
国税通則法第七十条  次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限又は日から五年(第二号に規定する課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出があつたものに係る賦課決定(納付すべき税額を減少させるものを除く。)については、三年)を経過した日以後においては、することができない。
一  更正又は決定 その更正又は決定に係る国税の法定申告期限(還付請求申告書に係る更正については当該申告書を提出した日とし、還付請求申告書の提出がない場合にする決定又はその決定後にする更正については政令で定める日とする。)

なので耐用年数を訂正された場合には、個人の場合一旦必要経費になっていても、未償却残高を計算し直して上乗せして、修正されなかった期間分ももう一度償却費として必要経費にしても問題ないことになるのですよね。


とこう書きながら自分でも何だかひっかかりますが、大阪国税局の審理の質疑応答事例でも以下のような記載があるので、きっと間違いないですね(^^;。
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※コンビニで次の本を見かけたのですが、「いい感じに狂ってて楽しい」という感想に惹かれてアマゾンで衝動買い(^^;。

世紀末救世主伝説 エクセル関数北斗百列拳 (Gakken Computer Mook)

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果たして役に立つでしょうか・・・?



神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

概算取得費を使わない場合に気を付ける点

昨日お世話になっている税理士さんに、譲渡所得を計算する際に概算取得費に代えて市街地価格指数で取得費を推計する方法について、電話で聞かれることがありました。
取得費が不明という不動産は、相続などで取得した土地などで、被相続人の取得時の資料が古すぎて残っていないという事が多いのですが、概算取得費を使わない場合には、他にも気を付けることがあります。

かの右山事件の最高裁判決を受けて出来た、以下の通達・・・。

所得税法基本通達60-2
(贈与等の際に支出した費用)

法第60条第1項第1号に規定する贈与、相続又は遺贈(以下「贈与等」という。)により譲渡所得の基因となる資産を取得した場合において、当該贈与等に係る受贈者等が当該資産を取得するために通常必要と認められる費用を支出しているときには、当該費用のうち当該資産に対応する金額については、37-5及び49-3の定めにより各種所得の金額の計算上必要経費に算入された登録免許税、不動産取得税等を除き、当該資産の取得費に算入できることに留意する。(平17課資3-7、課個2-25、課審6-13追加)

(注) 当該贈与等以外の事由により非業務用の固定資産を取得した場合の登録免許税等については、38-9参照

相続人などが相続などで取得した不動産などを譲渡した場合に、登記費用などその資産を取得するために通常必要な費用は取得費に算入できるということになるので、概算取得費を使わない場合にはこれらに関する資料もいただいておく必要があります。
相続財産を譲渡する場合取得費加算は意識するのですが、相続時の登記費用までは注意が回らないことがあるので、気をつけないといけないポイントですよね(^^;。



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今年も使うことはできるかな?

今年も平成26年9月の市街地価格指数・全国木造建築費指数の表をいただくことができました。
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今回は一部に間違いがあったようで、正誤表も同封されています。


この市街地価格指数については以前もこちらの記事に記載していますが、

こちらの裁決事例で、建物の取得価額を着工建築物構造別単価で計算した後に、土地の取得価額を市街地価格指数を使って計算するという方法が示されているため、取得価額が不明なものの概算取得費があまりに低すぎると思われるときにはこの方法でも取得価額を計算してみるようにしています。


裁決事例で示されている計算表を基に
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以下のような表で計算してみるのですが、概算取得費よりかなり高くなる場合にはやはりドキドキしてしまいます。
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私の経験上この方法で計算して問題になったことはないのですが、他の税理士さんに「ホントに大丈夫?」などと聞かれたりすると、やっぱり答えにくいですよね・・・。今年の申告でも、この市街地価格指数を使う機会はあるかなあ?
→このエクセルファイルは、こちらのホームページからダウンロードできます

※12月4日は、近畿税理士会館での会議に出席させていただきました。
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税理士法もいろいろなベクトルの中で成り立っている法律だなと感じる一年です・・・。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

認定利息の利率が下がったのですよね

9月決算で貸付金の認定利息を検討している最中、「そういえばここの通達って変わってなかったっけ?」と思い出すことがあったので、改めて確認してみました。


利息と認定される金額については、所得税法基本通達に計算方法が記載されています。

所得税法基本通達36-49(利息相当額の評価)
使用者が役員又は使用人に貸し付けた金銭の利息相当額については、当該金銭が使用者において他から借り入れて貸し付けたものであることが明らかな場合には、その借入金の利率により、その他の場合には、貸付けを行った日の属する年の租税特別措置法第93条第2項《利子税の割合の特例》に規定する特例基準割合による利率により評価する。(平19課法9-9、課個2-20、課審4-32、平25課法9-7、課個2-16、課審5-32改正)

とひも付きの借入金がない場合は、「特例基準割合」というもので計算するということに変わっています。
この特例基準割合は、以下の租税特別措置法に規定されています。

租税特別措置法第九十三条(利子税の割合の特例)
次の各号に掲げる規定に規定する利子税の年七・三パーセントの割合は、当該各号に掲げる規定にかかわらず、各年の特例基準割合が年七・三パーセントの割合に満たない場合には、その年中においては、当該特例基準割合とする。
2 前項に規定する特例基準割合とは、各年の前々年の十月から前年の九月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行つた貸付け(貸付期間が一年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を十二で除して計算した割合(当該割合に〇・一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として各年の前年の十二月十五日までに財務大臣が告示する割合に、年一パーセントの割合を加算した割合をいう。

この割合は次の国税庁のHPのように、現在1.9%になっています。
延滞税の割合|申告・納税手続|国税庁


以前の通達は、

使用者が役員又は使用人に貸し付けた金銭の利息相当額については、当該金銭が使用者において他から借り入れて貸し付けたものであることが明らかな場合には、その借入金の利率により、その他の場合には、貸付けを行った日の属する年の前年の11月30日を経過する時における日本銀行法第15条第1項第1号の規定により定められる商業手形の基準割引率に年4%の利率を加算した利率(その利率に0.1%未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)により評価する。

ということで割合は4.3%だったので、大分下がりましたよね。


ただ以下のような附則があるので、1.9%で計算していいのは、26年1月1日以降貸付分のみ。

附 則(経過的取扱い)
この法令解釈通達による改正後の36−49の取扱いについては、平成26年1月1日以後適用する。

ちょっと残念・・・。まあ貸付金は作らないことに越したことはないので、出来るだけこの通達のお世話になることはないようにしたいものです。


※11月13日の木曜日は、東京の日本税理士会館に初めて行きました。

色々とお話をさせていただき貴重な経験になりましたが、やっぱり疲れた〜。


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相続で取得した減価償却資産の取得価額と償却方法

相続で取得した建物について、被相続人の固定資産台帳をそのまま写して償却計算をしようとしていたのですが、自分の中でささやく何かが違うような予感・・・。
というわけで、ちょっと調べてみました。


まずは取得価額。

所得税法施行令 第126条 (減価償却資産の取得価額)
2  法第60条第1項 各号(贈与等により取得した資産の取得費等) に掲げる事由により取得した減価償却資産(法第40条第1項第1号 (たな卸資産の贈与等の場合の総収入金額算入) の規定の適用があつたものを除く。) の前項に規定する取得価額は、当該減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなした場合における当該減価償却資産のこの条及び次条第2項の規定による取得価額に相当する金額とする。

と相続で取得した減価償却資産は、被相続人が引き続き所有していたとみなすので、被相続人の取得価額と未償却残高をそのまま写してOK。


一方で償却方法は。

所得税法施行令 第120条の2
平成19年4月1日以後に取得された減価償却資産(第6号に掲げる減価償却資産にあつては、当該減価償却資産についての所有権移転外リース取引に係る契約が平成20年4月1日以後に締結されたもの) の償却費の額の計算上選定をすることができる法第49条第1項 (減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法) に規定する政令で定める償却の方法は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める方法とする。
◆1  建物(第3号及び第6号に掲げるものを除く。)  定額法(当該減価償却資産の取得価額にその償却費が毎年同一となるように当該資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて計算した金額を各年分の償却費として償却する方法をいう。以下この目及び第3目(減価償却資産の償却費の計算) において同じ。)
◆2  第6条第1号(減価償却資産の範囲) に掲げる建物の附属設備及び同条第2号から第7号までに掲げる減価償却資産(次号及び第6号に掲げるものを除く。)  次に掲げる方法
イ 定額法
ロ 定率法

ここでいうところの取得には、下記の通達のように相続も含むということなので、「取得日=相続日」ということになります。
また償却方法もこの取得日に従うことになるので、被相続人の償却方法をそのまま持ってきたらダメなことになります。

所得税法基本通達 49−1(取得の意義)
令第120条第1項及び令第120条の2第1項に規定する取得には、購入や自己の建設によるもののほか、相続、遺贈又は贈与(以下49−3において「相続等」という。)によるものも含まれることに留意する。(平11課所4−1追加、平19課個2−11、課資3−1、課法9−5、課審4−26改正)


こちらの国税庁のホームページにも計算の事例がありますね。
平成19年4月1日以後に相続により減価償却資産を取得した場合|所得税目次一覧|国税庁
定率法とか均等償却で減価償却費が少額になっていたものも、改めて定額法で計算できるので、結構償却費も変わってきます。
思い出した自分GJです(^^;。でも自分頼みというのも、一人事務所の怖いところですね・・・。


※達人様にもちゃんと、「相続時帳簿価額」の入力欄がありますね。


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