夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

事務所ホームページはこちらです→神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所

給与所得控除が頭打ちになる場合は、所得分散シミュレーションの再検討が必要かも

事務所のホームページで公開している平成28年用の「給与・賞与・年末調整自動計算シート」ですが、再度見直しをしてみました。

28年1月より、給与所得控除の上限が年間1,200万円になると230万円で頭打ちになるので、毎月の給与についても100万円以上の給与だと給与所得控除が頭打ちになります。
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27年までは年間1,500万円で245万円で頭打ちだったので、15万円の減少になります。29年からは年間1,000万円で220万円で頭打ちになります。
まあ給与所得控除が必要経費の概算控除と考えると、確かにサラリーマンの必要経費がそこまで必要かなとは思うので、増税策としては妥当かなと思うのですが、年間1,200万円や1,000万円という給与は私の事務所レベルでもある話なので、そのあたり所得分散シミュレーションの再検討がまた必要になるような気がします。
エクセルのシミュレーションシートも、修正していかないとダメですね・・・。


※28年から源泉徴収票もA5サイズに変ります。
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私の事務所は、法定調書も給与支払報告書も電子申告率100%なのであまり考えていないのですが、紙で提出する場合はA4用紙が一人当たり2枚必要になるのかなあ?


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

アマゾンのロイヤルティの消費税の取り扱いはどうなるのか?

自分の帳簿を眺めていてふと、「アマゾンから受け取るロイヤルティ(電子書籍のロイヤルティ)」の消費税の取り扱いってどうなるんだろう?」と疑問に思ったので、ちょっと調べてみました。

先日会った神戸の税理士さんと、グーグルアドワーズやグーグルアドセンスの消費税の取扱いってどうなるんだろうという話をしていたのですが、アマゾンからいただくロイヤルティは消費税的にどう扱われるのでしょうか?

まずはおさらい。著作権の消費税の課税関係がどうなるかです

著作権は、法4条で国内において譲渡等が行われた場合には課税の対象となるとされます。そして国内外判定を行う施行令6条7項において、著作権の譲渡・貸付を行う者の住所地とされます。

(課税の対象)
消費税法第四条  国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。
3  資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める場所が国内にあるかどうかにより行うものとする。ただし、第三号に掲げる場合において、同号に定める場所がないときは、当該資産の譲渡等は国内以外の地域で行われたものとする。
一  資産の譲渡又は貸付けである場合 当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所(当該資産が船舶、航空機、鉱業権、特許権著作権国債証券、株券その他の資産でその所在していた場所が明らかでないものとして政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)



(資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定)
消費税法施行令第六条  法第四条第三項第一号 に規定する政令で定める資産は、次の各号に掲げる資産とし、同項第一号 に規定する政令で定める場所は、当該資産の区分に応じ当該資産の譲渡又は貸付けが行われる時における当該各号に定める場所とする。
七  著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずる権利を含む。)又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの(以下この号において「著作権等」という。) 著作権等の譲渡又は貸付けを行う者の住所地

今回の私の場合、日本に住む私が譲渡等を行っているので、国内取引になり、課税の対象となります。


次に輸出取引に該当するかですが、施行令17条で非居住者に対する著作権の譲渡等は輸出取引等に該当し、法7条で免税になります。

(輸出免税等)
消費税法第七条  事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、次に掲げるものに該当するものについては、消費税を免除する。
五  前各号に掲げる資産の譲渡等に類するものとして政令で定めるもの


(輸出取引等の範囲)
消費税法施行令第十七条  
六  第六条第一項第四号から第八号までに掲げる資産の譲渡又は貸付けで非居住者に対して行われるもの

私の場合はAmazon Inc.というアメリカの会社に対して行っているので、免税(輸出取引)に該当します。

というわけで、非居住者に対する著作権の譲渡等は、通常免税取引になります。

さてここから本題

Amazonからの電子書籍のロイヤルティは、「電気通信利用役務の提供の対価」に該当するのでしょうか?
消費税法で「電気通信利用役務の提供」は、以下の様に定義されています。

(定義)
消費税法第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
八の三  電気通信利用役務の提供 資産の譲渡等のうち、電気通信回線を介して行われる著作物(著作権法 (昭和四十五年法律第四十八号)第二条第一項第一号 (定義)に規定する著作物をいう。)の提供(当該著作物の利用の許諾に係る取引を含む。)その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供(電話、電信その他の通信設備を用いて他人の通信を媒介する役務の提供を除く。)であつて、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいう。
八の四  事業者向け電気通信利用役務の提供 国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、当該電気通信利用役務の提供に係る役務の性質又は当該役務の提供に係る取引条件等から当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものをいう。



(電気通信利用役務の提供)
消費税法基本通達
5-8-3 電気通信利用役務の提供とは、電気通信回線を介して行われる著作物の提供その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供であって、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいうのであるから、例えば、次に掲げるようなものが該当する。(平27課消1-17により追加)
(1) インターネットを介した電子書籍の配信
(2) インターネットを介して音楽・映像を視聴させる役務の提供
(3) インターネットを介してソフトウエアを利用させる役務の提供
(4) インターネットのウエブサイト上に他の事業者等の商品販売の場所を提供する役務の提供
(5) インターネットのウエブサイト上に広告を掲載する役務の提供
(6) 電話、電子メールによる継続的なコンサルティング
(注) 電気通信利用役務の提供に該当しない他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供には、例えば、次に掲げるようなものが該当する。
1 国外に所在する資産の管理・運用等について依頼を受けた事業者が、その管理等の状況をインターネットや電子メール(以下5-8-3において「インターネット等」という。)を利用して依頼者に報告するもの
2 ソフトウエア開発の依頼を受けた事業者が、国外においてソフトウエアの開発を行い、完成したソフトウエアについてインターネット等を利用して依頼者に送信するもの


事業者向け電気通信利用役務の提供)
5-8-4 事業者向け電気通信利用役務の提供とは、国外事業者が行う電気通信利用役務の提供で、その役務の性質又は当該役務の提供に係る取引条件等から当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものをいうのであるから、例えば、次に掲げるようなものが該当する。(平27課消1-17により追加)
(1) インターネットのウエブサイト上への広告の掲載のようにその役務の性質から通常事業者向けであることが客観的に明らかなもの
(2) 役務の提供を受ける事業者に応じて、各事業者との間で個別に取引内容を取り決めて締結した契約に基づき行われる電気通信利用役務の提供で、契約において役務の提供を受ける事業者が事業として利用することが明らかなもの
(注) 消費者に対しても広く提供されるような、インターネットを介して行う電子書籍・音楽の配信又は各種ソフトウエアやゲームを利用させるなどの役務の提供は、インターネットのウエブサイト上に掲載した規約等で事業者のみを対象とするものであることを明示していたとしても、消費者からの申込みが行われ、その申込みを事実上制限できないものについては、その取引条件等からは事業者向け電気通信利用役務の提供に該当しないのであるから留意する。

法2条の定義だけを読んでもよく分かりませんが、通達で補完すると何らかの著作物をインターネットを経由して提供することなどが電気通信利用役務の提供に該当し、資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供をネット経由で行ってもそれは電気通信利用役務の提供には該当しないということですね。
私の場合、アマゾンが私の書籍を日本でネット配信する場合はこの電気通信利用役務の提供ですが、私がアマゾンに著作権の譲渡等を行う場合にはこれに該当しないので、ロイヤルティは今までと同じように免税取引(輸出売上)に該当するという事になりますね。


アマゾンやグーグルが絡んだ取引だと、何だか全て今回の電気通信利用役務の提供の課税の見直しの影響を受ける気がしますが、そうでない場合もあるということですよね。
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免税と不課税を間違ってもさほど影響はありませんが、国内課税と不課税を間違うと影響があるので、注意したいと思います。



神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

頑張って計算したのに・・・

私の事務所のHPで公開しているエクセルファイル「所得拡大促進税制計算シート」。
27年4月以後終了事業年度は別表6(20)が別表6(21)に様式が変わったので、エクセルでも別表6(21)の様式を作ってみました。
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私の事務所でも今年の後半は黒字で給与も増えたという法人が結構あったので、活躍の場が増えてきたこのエクセルファイルですが、他の税理士さんからもいろいろご感想をいただきます。

昨日お会いした税理士さんとも所得拡大促進税制のお話をすることがあったのですが、計算がややこしい割にはお客さんには努力が分かってもらえないし、税務調査でも全然チェックされない(^^;と嘆き節を聞くことに。
確かに頑張って計算した結果を誰にも分かってもらえないと、少しさみしいですよね・・・。


※18日は税理士試験の合格発表ですね。
私の所属する近畿青年税理士連盟大阪支部でも合格者祝賀会を開催するので、その申込フォームを作ってみました。

私の合格は2006年でしたので、もう9年前になるのですよね・・・・。

一人でも多くの方に、早めの春が訪れることを祈っています。


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今回の法人税の改正は中小企業に影響少ないかな・・・?

1月に28年税制改正大綱を人前で話せという無茶振り貴重な機会をいただいたので、簡単な資料を作ることに。
法人税部分を話してほしいということだったので、中小企業で関連する部分をかんたんにまとめてみました。
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めぼしい項目をピックアップしてみたのですが、今回はそれほどインパクトあるものは少なそうですね。


法人税率の引下げは800万円以上の部分だけですから、中小企業にはあまり関係ないですし。
企業版ふるさと納税も、50%~60%の税金が減るだけであれば、活用されるのでしょうか?個人のようにお礼などはきっとないでしょうし・・・。
中小企業の少額減価償却資産の特例も、従業員1,000人以下は従前通り。
一番大きいかなと思うのは、建物附属設備と構築物の償却方法が定額法一択になるところぐらいでしょうか?


やっぱり今回の税制改正大綱のメインは、きっとまだ決まっていない消費税の軽減税率の部分ですね。


※12月12日の土曜日は、九州北部税理士会館で打ち合わせ&研修会。
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初めて来ましたが、新幹線の駅の横にあるといいですね(^^;。


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日付データがバラバラの時はdate関数で対応しましょう

前回の日記で書いた「預金通帳明細→弥生会計仕訳日記帳変換シート(弥生会計14以降)、使い方について質問をいただきました。


質問の内容は「ネットバンクからダウンロードしたCSVデータの日付が、「年」、「月」、「日」がバラバラになっていてこのエクセルシートで使えないのですが、どうすればいいでしょうか?」といった内容です。

このエクセルシートの日付は「2015/12/11」といった日付の形で入力してもらう必要があるので、「2015」、「12」、「11」といった日付データがセルごとに分かれていると、そのままでは日付データとして使えないといった主旨の質問ですが、こういった場合にはdate関数を使うと一発で解決します。


以下の画面のように、date関数でカッコの中に年、月、日のセルを順番に選択すれば、エクセルが日付と認識するデータ(シリアル値)に変換してくれるので、あとはこのデータを張り付ければ、エクセルが弥生会計のデータに自動変換してくれます。
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今回の日付に限りませんがデータがあれば、何らかの方法で加工してそのまま活用する方法は絶対にあるはずです。
上手くいけば楽に仕事が終わるので、早く家に帰るためにも、あきらめずに方法を考えるのが大事ですよね(*^^*)


✳︎11日の金曜はお休みをいただいて九州へ。
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寒い日に熱い焼きカレー、美味し!


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会計の仕事ってどうなっていくのでしょう?

私の事務所のホームページで公開しているエクセルファイル「預金通帳明細→弥生会計仕訳日記帳変換シート(弥生会計14以降)」。
通帳や現金出納帳などのデータを弥生会計に取込み可能なデータに変換するファイルですが、今回新規で使い始めるときに通帳の摘要マッチングリストを手動で作成するのが面倒だったので、自動で取り込む機能を追加してみました。
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ボタン一つで、通帳明細にある摘要のうち、マッチングリストにないものを自動で取り込むことができます。
→このエクセルファイルはこちらのHPからダウンロードできます


この機能を付けながら思ったのは、金額や日付のデータさえあればほぼ自動化できる会計データの入力って、近い将来なくなるんだろうなということです。
先日も今の仕事の半分ぐらいはAIや機械で置き換わるというニュースが出ていましたが、www3.nhk.or.jp
会計データの入力の仕事は遠からず機械化されていくのだろうなと思います。


ただデータ入力と会計の仕事はまた違うものですが、こちらはどうなっていくのでしょう?
先週の金曜日にも近畿税理士会の執行部の方とお話をする機会があったのですが、税理士試験もそうですが、それ以外の日商簿記検定や公認会計士試験といった会計系の試験の受験者は軒並み減少傾向にあるということでした。
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会計の仕事は将来性がなく魅力がないものになってきているのでしょうか・・・?


個人的には、会計の役割は損益の把握、投資判断、課税の道具といろいろあるので、会計の仕事そのものがなくなることはないような気がします。
ただ危惧するのは、会計の知識や技術を知らない人が増えて行ったら、会計は段々と変な方向に歪んでいくのではということですね。

今は主流になってきた時価主義や資産・負債アプローチ。これって簿記や財務諸表論の知識がある人ならば、日々の取引を記帳して集計するという簿記の役割を意味のないものにしてしまうと思うはずなのに、時価主義の方向に振れて行っているのは、簿記の知識がない人たちの影響力が強くなってきてるのかなあなんて感じてしまいます。
会計を学ぶ人が少なくなれば、一層そんな傾向になって、会計が変な方向に行ってしまう・・・。そんなことにならなければいいのだけれど・・・。


※5年前にも同じようなことを書いてますね・・・。kobarin.hatenablog.com
こういった会計の歴史の話を読んで、今時価主義に傾いて行っているのは何故かしらと考えるのもいいのかもしれません。

会計の歴史探訪 -過去から未来へのメッセージ-

会計の歴史探訪 -過去から未来へのメッセージ-



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