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夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

IFRSの正体は妖怪?

ここ5年来購読している「税務QA」という税務雑誌があるのですが、その中で楽しみにしているものに公認会計士の田中義幸先生の「会計ビッグバンの闇」という連載があります。


NPO法人関係の講座で田中先生の講義は聞いたことがあるのですが、話しぶりも至極穏やかな感じです。
ところがこちらの連載の記事では、そんなイメージとはうらはらに毎回メーター振り切れたような感じで、田中先生独自視点から会計ビッグバンの問題点をめった切りにする話が続きます。


ここ数回は「妖怪IFRSの正体」というサブタイトルでの話が続いているのですが、田中先生はIFRSを「世界を覆いつくす妖怪で、投資資本の召使となって、会計の地位を将来にわたっておとしめる存在」と結論付けています。
資産負債アプローチのように会社の財産価値を重視するのは、その会社を投資の対象として見ることにほかならない。そして会計がその道具になり下がるのは、会計の地位を自らおとしめることになるであろうと。


財務諸表論の勉強をしていた8年前、取得原価主義に根ざした会計の構造や考え方が理解できるようになった授業の終盤で「資産負債アプローチ」について教わったのですが、「なんだそりゃ?」ということで納得できずに気持ち悪い思いをしたのが思い出されます。
そもそも授業の序盤に習ったことが「静態論と動態論」ということで、19世紀ぐらいまでの会計は会社の解散価値を重視して、財産計算とその結果である貸借対照表が重視され損益計算はおまけであり、そして大恐慌を挟んだあたりから、会社の収益力計算を重視する取得原価主義をベースとする今の会計が発展したということでした。
そのため昔に回帰するような「資産負債アプローチ」の考え方は、「なんでいまさら?」と「??」な思いを禁じえませんでした。


未だに事業用の不動産や有価証券を決算ごとに時価評価に引きなおすということは、不見識ながら納得できないところです。
時価評価が必要なのは事業や会社を売却・清算する際であって、その時にいくらでもデューディリジェンスでもすればいい話。その資産を会社の事業活動に使っている最中に時価評価しなければならないというのは、一体誰のためなのかしらといぶかしんでしまいます。


100年前の「貸借対照表が主、損益計算書が従」となり、会計の役割が貸借対照表にのっている財産・債務の一定時点の割引現在価値の計算がメインになってしまうのであれば、昔のように損益計算は財産計算のおまけで行われて、会計の地位は凋落していくのかもしれませんね。
「バスに乗り遅れるな」。IFRSの導入は不可避なのかもしれませんが、田中先生のいうようにその正体は妖怪なのかもしれません。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です