夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

事務所ホームページはこちらです→神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所

猶予措置って、誰かにプラスになることあるのかしら?

前回の日記にも書いていた、所属する支部での研修会が終わってほっと一息。
人前で話をするのはやっぱりなかなか慣れないですよねえ・・・。レジュメに沿って話をしていくのがいっぱいいっぱいで、立て板に水といった感じで話をするのはなかなかできません。


研修が終わったところで、国税庁HPに新しい電子帳簿保存法のパンフレットがアップされているのに気づいたのですが、終わった研修と同様来年の1月から義務化される電子取引データの保存方法に絞った内容になってるんですよね。

これだったら研修会でも紹介できればよかったな。なかなかうまくいかないものです。
↓このパンフレットは以下のリンク先で確認できます。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_01.pdf


このパンフレットでいいなと思ったのは、次のフローチャート

矢印を追っていけば、法に従った処理をするためにはどんな要件を満たす必要があるのか、どの要件を満たせない場合に猶予措置の適用を受けることになるのかが、今までのパンフレットより分かりやすく説明されているような気がします。


ただ猶予措置を使うと、現状と比べてデータの保存をするという手間が増えるだけで、お客様の業務の効率化には何一つプラスになることがないのですよね。
それに調査する側にも、とりあえずデータを検索要件なしで保存するだけで、整理した印刷物を別途保管するという猶予措置の場合、データ保存にどんなメリットがあるのかいまいち想像が及びません。適当に保存されて検索もできないデータはうっちゃって、印刷して整理された紙の資料を見る方がきっと効率的なはず・・・。

先日お伺いしたお客様も、とりあえず猶予措置でいいかなという話になったのですが、「なんでこんな面倒くさいだけの処理を導入して、国には何かいいことあるの?」と聞かれて上手く答えることができませんでした(^^;。
きっと猶予措置だと、調査する側も特に今までと何も変わらない手続きの流れになるような気がしますが、何でこんな規定を設けたのでしょうね?


私の事務所のホームページで公開している「電子取引データ保存シート」。
インボイス番号で取引先名を引っ張る機能を付けてから、取引先名の自動取得の確度も飛躍的に上がったような気がします。
www.youtube.com
連続取込がぴしっと決まると気持ちいいですよね(*^^*)。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

エクセルの賃上げ促進税制計算シートを作ってみました

令和4年4月以降から開始される「賃上げ促進税制」ですが、集計作業がかんたんにできるエクセルシートを作ってみました。

二期分の給与の金額を月ごとに入力すると、必要な数字が集計され、別表様式のシートに転記されるようになっています。


今回は大法人向け制度は二年前の継続雇用者の考えが復活し、

継続雇用者給与等支給額が、前期比3%以上増加→雇用者給与等増加額の15%を控除
継続雇用者給与等支給額が、前期比4%以上増加→+10%上乗せ
教育訓練費が前期比20%以上増加→+5%上乗せ

で、最高雇用者給与等増加額の30%が控除額となります。

中小企業向けは、前年と同様雇用者給与等支給額で判定し、

雇用者給与等支給額が、前期比1.5%以上増加→雇用者給与等増加額の15%を控除
雇用者給与等支給額が、前期比2.5%以上増加→+15%上乗せ
教育訓練費が前期比10%以上増加→+10%上乗せ

で、最高雇用者給与等増加額の40%が控除額となります。

今の政権の肝いり政策とやらで控除率がかなり増えたような気もするのですが、「法人税の20%で頭打ち」という上限は以前より変わらないので、賃上げをしてもこちらの上限に引っかかってしまうケースが結構あるような気がするのですよね。控除限度超過額も翌期繰越とかできるわけじゃないですし・・・。

また中小企業の場合、中小企業向けの要件が「雇用者給与等支給額が、前期比1.5%以上増加」、大企業向けの要件が「継続雇用者給与等支給額が、前期比3%以上増加」なので、中小企業向けが使えなくても大企業向けが使えるという可能性は今回も出てきますね。
この計算シートは中小企業向けも、大企業向けも同時に計算できるようになっていますが、やっぱり両方の制度の適用可否を検討しないとダメなような気がします。
→このエクセルファイルはこちらのページからダウンロードできます


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

賃上げ促進税制も有利判定が必要なのかな?

令和4年4月以降開始事業年度に適用される賃上げ促進税制ですが、来年も計算シートを作ろうかなと、別表をエクセルで作ってみました。

今回は中小企業向けも大企業向けも同じ別表で計算するようになったみたいですが、基礎数字の集計は付表で行うようになったんですね。
★別表6(31)

★別表6(31)付表1


大企業向けと中小企業向けの適用要件と控除率は、それぞれ以下のようになっています。

1、大企業向け
継続雇用者の給与等支給額が前年度比で3%以上増加→雇用者給与等増加額の15%税額控除
継続雇用者の給与等支給額が前年度比で4%以上増加→雇用者給与等増加額の25%税額控除

上乗せで
教育訓練費が前年度比で20%以上増加→+5%税額控除

2、中小企業向け
雇用者全体の給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加→雇用者給与等増加額の15%税額控除
雇用者全体の給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加→雇用者給与等増加額の30%税額控除

上乗せで
教育訓練費が前年度比で10%以上増加→+10%税額控除


大企業向けの適用要件は「継続雇用者の給与等支給額が前年度比で3%以上増加」。中小企業向けの適用要件は「雇用者全体の給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加」というようになっています。
大企業向けは青色申告が要件なので中小企業も使えるのですが、適用要件が違うということは、中小企業の場合「雇用者給与等支給額では要件を満たさないけど、継続雇用者給与等支給額では要件を満たす」とか「継続雇用者給与等支給額が4%以上増えてるから、大企業向けの方が有利」という可能性がまたあり得ますよね・・・。
一度の入力で雇用者給与等支給額と継続雇用者給与等支給額を同時に集計できるようにして、両制度の適用可否と有利判定をまとめてできるようにするのがいいのかな?



神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

エクセルで電子帳簿保存法の電子取引データ保存シートを作ってみました

6月ぐらいから仕事の合間にぼちぼちと作っていた、電子帳簿保存法の電子取引データ保存義務に対応するための、エクセルでの電子取引データ保存シート。
とりあえずなんとか形になったかなという感じになったので、事務所のHPで公開してみました。

このエクセルファイルはこちらのページからダウンロードできます

PDFファイルのテキストから、自動で「取引日付」「金額」「取引先名」を抽出します

このエクセルシートですが、電子取引データであるPDFファイルをドラッグアンドドロップするだけで、PDFファイルからテキスト情報を抽出し、

その中から「取引日付」「金額」「取引先名」を自動で抽出するようになっています。

抽出した「取引日付」「金額」「取引先名」から、検索可能な索引簿を作成します。

抽出したデータをそのままか、誤りがある場合には修正したのち登録ボタンを押すと、電子帳簿保存法に定められた検索要件を満たす索引簿に記録するようになっています。

またおまけで、PDFデータについてはファイル名を「取引日付_金額_取引先名」にリネームして、指定のフォルダに保存するようになっています。


まあ義務化されるのは令和6年1月からなので、それまでにいろいろ試してみて改善点なども出てくるような気がしますが、クラウドサービスなどを使うと料金もそれなりにかかるでしょうし、お金をかけずにこの電子取引データの保存義務化に対応するには、こんな感じでエクセルの索引簿で対応することになるんでしょうかねえ。

重版になりました!

私の著書「3日でマスター! 個人事業主フリーランスのための会計ソフトでらくらく青色申告」ですが、この度重版になるとのご連絡をいただきました。

初版から数えると18回目の重版。これも皆様のおかげです。本当にありがとうございますm(_ _)m。


重版にあたって追加しないとダメなのは、電子帳簿保存法への対応と、インボイス制度の説明ですね・・・。
この本は15年前、税理士登録したばかりの頃に経験した記帳指導の経験を基に書いたものなのですが、
kobarin.hatenablog.com
そのころは書類ベースの業務が中心で、パソコンを使って会計ソフトで記帳でさえも当たり前ではなかったのですよね。

スマホを買ったのは12年前で、
kobarin.hatenablog.com
それ以前のまだガラケーだったころと比べると、税理士の仕事の景色も大分変わってきたような気がします。
そういう私も税理士になったのは31歳ですが、いつの間にか50歳が目の前になってしまいました。あと15年ぐらいは仕事をしないとダメでしょうけど、世の中の変化についていけるのかしら・・・?


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

小さな会社の「電子取引データの訂正削除の防止に関する事務処理規程」を考えてみました

エクセルで作成している「電子取引データ保存シート」が大体完成したので、このエクセルファイルを使って電子取引データを保存する場合の要件を今一度確認してみました。

可視性の要件

可視性の要件のうち、

  • 電子計算機処理システムの概要書は、「エクセル作成の索引簿」と「ファイル名での検索」になるため特に不要。
  • 見読可能装置の備え付け等は、電子取引データ保存の場合特にパソコン、ディスプレイ、プリンタ等の性能に要件がないので、手元にあるものでOK。

ちなみにスマホしかない場合の以下のようなQ&Aもありますが、スマホの画面で見てもらったり、近所のコンビニで印刷すれば本当に差し支えないのかしら?

問17
パソコンやプリンタを保有しておらず、スマートフォンのみで取引を行っている場合には、どのように電子取引データ保存への対応をすればいいでしょうか。

【回答】
スマートフォンで授受(メールやインターネット上表示された領収書等をダウンロード)した電子取引データを保存する場合も、検索機能を確保するとともに、「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」を作成し備え付けておくなどの対応が必要になります。
なお、電子取引データの保存要件にはプリンタの備付けも含まれていますが、税務調査等があった時点においてプリンタを常設していない場合であっても、近隣の有料プリンタ等により税務職員の求めに応じて速やかに出力するなどの対応ができれば、プリンタを備え付けているものと取り扱って、差し支えありません。

  • 検索機能の確保は以下の要件になりますが
  1. 取引年月日その他の日付、取引金額その他の国税関係書類の種類に応じた主要な記録項目を検索の条件として設定することができること。
  2. 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
  3. 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。

はエクセルで作った索引簿があるので、次のように何とでも検索できるのでOK。

真実性の要件

あとは真実性の要件ですが、このエクセルファイルを使う限り「四 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け」になるので、このファイルを使うような小さな会社の場合のひな型を考えてみました。

電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程


第1条 この規程は、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法の特例に関する法律第7条に定められた電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務を履行するため、電子取引の取引情報に係る電磁的記録を適正に保存するために必要な事項を定め、これに基づき保存することを目的とする。


第2条 当社における電子取引の範囲は以下に掲げる取引とする。
 一 電子メールを利用した請求書等の授受
 二 インターネットのホームページからのダウンロードを利用した請求書等の授受
 三 クラウドサービスを利用した請求書等の授受
 四 スマートフォンのアプリを利用した請求書等の授受 
 五 上記に類する一切の取引


第3条 前条に定める取引で授受したデータ(以下「取引関係情報」という)については、保存サーバ内に7年間保存する。


第4条 保存する取引関係情報の内容について、訂正及び削除をすることは原則禁止とする。


第5条 業務処理上やむを得ない理由によって保存する取引関係情報を訂正または削除する場合は、「取引情報訂正・削除記録簿」に以下の内容を記載の上、事後に訂正・削除履歴の確認作業が行えるよう整然とした形で、訂正・削除の対象となった取引関係情報の保存期間が満了するまで保存する。
 一 連番
 二 取引先名
 三 訂正・削除日付
 四 訂正・削除内容
 五 訂正・削除理由


第6条 この規程は、令和○年○月○日から施行する。

小さな会社の電子取引はほとんど
・電子メールを利用した請求書等の授受
・インターネットのホームページからのダウンロードを利用した請求書等の授受
で、たまに
スマートフォンのアプリを利用した請求書等の授受
がある程度だと思うので、電子取引の範囲は2条のような感じでいいのかなあ。

あとは数人でやっているような会社だと、データの削除・訂正作業に管理者や処理担当者を分けるのも現実的でないような感じがしたので、5条のように「取引情報訂正・削除記録簿」に分かりやすく記録を残すぐらいでいいのでしょうか?

ファイル名→弥生会計の仕訳日記帳を自動作成するエクセルファイルの使い方

このエクセルファイルで自動作成したファイルから、弥生会計の仕訳日記帳を自動作成するエクセルファイルの使い方も動画にしてみました。

www.youtube.com
データが数件だとあまり威力が感じられませんが、数十件あると、やっぱり手入力と大分差が出るような気がしますね(*^^*)。



神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

自分の勉強や経験で補えないところをどう補完するか・・・

先日法人設立のお手伝いをすることがあったのですが、初めから利益が出るような方の場合、最初に決まってお願いすることの一つが旅費規程の作成です。
f:id:kobarin:20171108183916j:plain
目的はもちろん非課税所得となる日当を支給するためですが、その際に聞かれるのは「日当の上限っていったいいくらぐらいでしょう?」ということです。


日当が非課税となる根拠は以下の所得税法基本通達9-3ですが、その基準は「同じ社内で、役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか」ということと、「同業種、同規模の他の会社が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか」の2つになります。

(非課税とされる旅費の範囲)
所得税法基本通達9-3
法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

  1. その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
  2. その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。


具体的にいくらと決められているわけではないので、以下の「国家公務員等の旅費に関する法律」や
国家公務員等の旅費に関する法律

区分 日当(一日につき)
内閣総理大臣及び最高裁判所長官 三、八〇〇円
その他の者 三、三〇〇円
指定職の職務にある者 三、〇〇〇円
七級以上の職務にある者 二、六〇〇円
六級以下三級以上の職務にある 二、二〇〇円
二級以下の職務にある者 一、七〇〇円


次の産労総合研究所が出している「国内・海外出張旅費に関する調査」という統計資料などを見て、
www.e-sanro.net

日当を出張の距離・時間・地域等によらず一律にしている企業の平均支給額は,社長4,621円,専務3,624円,常務3,317円,取締役3,079円,部長クラス2,491円,課長クラス2,309円,係長クラス2,076円,一般社員1,954円となった。
この平均支給額を、一般社員を100とした指数でみると,社長236.5,専務185.5,常務169.8,取締役157.6,部長クラス127.5,課長クラス118.2,係長クラス106.2となっている。

「役員なら、一日当たり4~5千円ぐらいにしておくのが無難でしょうね」というような結論になるのですが、果たしてこの結論がベストなのか自分の経験だけからは判断が難しいところです。
他の税理士さんから「1万円ぐらいはOKでしょう」とか「いやいや2万円でも・・・」という話を聞くと、こういった自分の勉強や経験だけでは補えない部分をどう補っていくべきかは、開業10年目の今となってもやっぱり悩ましいですね・・・(^^;。


同じようになかなか自分の経験だけでは難しいのが、決算書面からの銀行対策です。
私自身会社員時代に一般企業で与信管理の仕事をしていたこともあり、「こんな決算書出したら粉飾もろバレだな(^^;」といったことは分かるのですが、銀行での審査を経験したわけではないので金融機関から見て「どういう決算書が即NGになるのか?」、「問題にならない粉飾などはあるのか?」、「どのあたりまでの粉飾は許容範囲なのか?(^^;」といったさじ加減の部分は、やはり何ともよくわからない部分があります。


今月は私の所属する税理士さんの団体でも、そういった経験の豊かな税理士さんによる銀行対策の研修があるので、経験不足面の補強ができればと思っています。
f:id:kobarin:20171108183930j:plain
★こちらの研修会の案内は、以下のリンクからダウンロードできます。
ご興味ある方は、ぜひご覧ください!
11月22日「借金は減らすな ~銀行対策の基本と実践ノウハウ~」研修会
参加ご希望の方は、案内に記載のメールかFAXでお願いします。



神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です