夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

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何で8%に(軽)が付くものがあるんですか?

私の事務所のホームページで公開している、エクセルのデータを弥生会計にインポートできるデータに変換するエクセルファイルですが、「10月からの消費税増税(軽減税率など)にも対応できるものはありますか?」という意見をいただいたので、選択できる消費税の課税区分を増やしてみました。
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それぞれの区分に、10%と9月までの8%と違う軽減税率の8%が追加されています。


先月当たりから流石にいろいろ質問を受けるようになったのですが、この課税区分についても「何で8%に、もう一つ(軽)が付くものがあるんですか?」とか「今の弥生会計でも、8%と10%の両方があるんだから、そのまま使えるんじゃないんですか?」といったことをよく聞かれます。
「今の8%は『国税6.3%+地方税1.7%』ですけど、10月からの8%は『国税6.24%+地方税1.76%』で別物なんですよ」と説明すると、大抵「??」という顔をされた後に、最後には「公〇党、ホンマに実務のこと考えんといらんことして!」というオチになるのですが(^^;、本当一律10%にした上で毎年地域振興券なり還元ポイントなりを配る制度にできなかったのかなあと心底思います。
ただ帳簿方式を前提に考えるから『何でこんなバカな制度・・・』と思いますが、最終的にインボイス方式になるのであれば、̚過渡期として仕方ないんですかねえ・・・。


変換ファイルを最初に作ったころは5%のみだったので、消費税区分もこれだけ。
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消費税法を勉強していた15年前、法人税法などに比べて整然と理論だっていた消費税の条文が好きだったのですが、だんだんと読みにくくなってきてますよね。
政策によって左右される税法は、つぎはぎつぎはぎで段々とぐちゃぐちゃになっていくのは避けられないのかしらん・・・。


※10年前に出した本ですが、今年も増刷いただけることになったので、増刷に当たってこの軽減税率の話なども追加で載せていただくことにしました。
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今年で17刷になるのですが、同様の書籍が新しく出てくる中でよくも10年間絶版にならなかったなと、うれしい気持ちでいっぱいです。
税理士登録した年の記帳指導で、様々な帳簿初心者と話しながら生の声をマメに記録して、それを自分なりにまとめたのがこの本なのですが、自分も税理士一年生で初心者の気持ちで書いたのがよかったような気がしますね。
税理士になったころは何もかも新鮮で、あの頃は記帳指導もウキウキしながら行ってたよなあ・・・。今月で開業12年目。事務所経営は十二分に上手くいってるけど、毎年同じことの繰り返しになってしまっています。こんな感じでいいのだろうか・・・?。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

軽減税率が導入されると、実務はどうなるのか?

私の所属する近畿青年税理士連盟大阪支部で、6月に消費税の研修を行うことになりました。
講師は、消費税といえばこの人という金井恵美子先生。
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消費税の税率は、平成29年4月1日から10%に引き上げられる予定ですが、最近予定通りに導入されるのか少し不透明になってきています。
税理士的にはやっぱり軽減税率が導入された際に、複数税率の線引きや、顧問先へのインボイスの書き方の指導、課税事業者や簡易制度選択の有利不利の判断といった実務的なポイントがどうなるのだろうと気になってしまいます。
今回の研修ではそういった実務的なところを色々教えてもらえるとともに、現状どんな感じなのかも教えてもらえる予定なので、非常に楽しみです。
金井先生には懇親会にも参加いただけるので、表には出てこない深いところの話も聞けるのかなと、そちらも楽しみです(^^)。


この研修のパンフレットは、こちらからダウンロードできます
この研修は、税理士または税理士有資格者の方であれば、どなたでも参加できます。
こちらのパンフレットを印刷してFAXいただくか、パンフレット記載の電子メール宛てか、以下の申込フォームからお申込みください。
申込フォームはこちらです!


※今日は午後から舞子までお仕事に。f:id:kobarin:20160429141835j:plain
もう夏のような空ですね。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

アマゾンのロイヤルティの消費税の取り扱いはどうなるのか?

自分の帳簿を眺めていてふと、「アマゾンから受け取るロイヤルティ(電子書籍のロイヤルティ)」の消費税の取り扱いってどうなるんだろう?」と疑問に思ったので、ちょっと調べてみました。

先日会った神戸の税理士さんと、グーグルアドワーズやグーグルアドセンスの消費税の取扱いってどうなるんだろうという話をしていたのですが、アマゾンからいただくロイヤルティは消費税的にどう扱われるのでしょうか?

まずはおさらい。著作権の消費税の課税関係がどうなるかです

著作権は、法4条で国内において譲渡等が行われた場合には課税の対象となるとされます。そして国内外判定を行う施行令6条7項において、著作権の譲渡・貸付を行う者の住所地とされます。

(課税の対象)
消費税法第四条  国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。
3  資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める場所が国内にあるかどうかにより行うものとする。ただし、第三号に掲げる場合において、同号に定める場所がないときは、当該資産の譲渡等は国内以外の地域で行われたものとする。
一  資産の譲渡又は貸付けである場合 当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所(当該資産が船舶、航空機、鉱業権、特許権著作権国債証券、株券その他の資産でその所在していた場所が明らかでないものとして政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)



(資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定)
消費税法施行令第六条  法第四条第三項第一号 に規定する政令で定める資産は、次の各号に掲げる資産とし、同項第一号 に規定する政令で定める場所は、当該資産の区分に応じ当該資産の譲渡又は貸付けが行われる時における当該各号に定める場所とする。
七  著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずる権利を含む。)又は特別の技術による生産方式及びこれに準ずるもの(以下この号において「著作権等」という。) 著作権等の譲渡又は貸付けを行う者の住所地

今回の私の場合、日本に住む私が譲渡等を行っているので、国内取引になり、課税の対象となります。


次に輸出取引に該当するかですが、施行令17条で非居住者に対する著作権の譲渡等は輸出取引等に該当し、法7条で免税になります。

(輸出免税等)
消費税法第七条  事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、次に掲げるものに該当するものについては、消費税を免除する。
五  前各号に掲げる資産の譲渡等に類するものとして政令で定めるもの


(輸出取引等の範囲)
消費税法施行令第十七条  
六  第六条第一項第四号から第八号までに掲げる資産の譲渡又は貸付けで非居住者に対して行われるもの

私の場合はAmazon Inc.というアメリカの会社に対して行っているので、免税(輸出取引)に該当します。

というわけで、非居住者に対する著作権の譲渡等は、通常免税取引になります。

さてここから本題

Amazonからの電子書籍のロイヤルティは、「電気通信利用役務の提供の対価」に該当するのでしょうか?
消費税法で「電気通信利用役務の提供」は、以下の様に定義されています。

(定義)
消費税法第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
八の三  電気通信利用役務の提供 資産の譲渡等のうち、電気通信回線を介して行われる著作物(著作権法 (昭和四十五年法律第四十八号)第二条第一項第一号 (定義)に規定する著作物をいう。)の提供(当該著作物の利用の許諾に係る取引を含む。)その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供(電話、電信その他の通信設備を用いて他人の通信を媒介する役務の提供を除く。)であつて、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいう。
八の四  事業者向け電気通信利用役務の提供 国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、当該電気通信利用役務の提供に係る役務の性質又は当該役務の提供に係る取引条件等から当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものをいう。



(電気通信利用役務の提供)
消費税法基本通達
5-8-3 電気通信利用役務の提供とは、電気通信回線を介して行われる著作物の提供その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供であって、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいうのであるから、例えば、次に掲げるようなものが該当する。(平27課消1-17により追加)
(1) インターネットを介した電子書籍の配信
(2) インターネットを介して音楽・映像を視聴させる役務の提供
(3) インターネットを介してソフトウエアを利用させる役務の提供
(4) インターネットのウエブサイト上に他の事業者等の商品販売の場所を提供する役務の提供
(5) インターネットのウエブサイト上に広告を掲載する役務の提供
(6) 電話、電子メールによる継続的なコンサルティング
(注) 電気通信利用役務の提供に該当しない他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供には、例えば、次に掲げるようなものが該当する。
1 国外に所在する資産の管理・運用等について依頼を受けた事業者が、その管理等の状況をインターネットや電子メール(以下5-8-3において「インターネット等」という。)を利用して依頼者に報告するもの
2 ソフトウエア開発の依頼を受けた事業者が、国外においてソフトウエアの開発を行い、完成したソフトウエアについてインターネット等を利用して依頼者に送信するもの


事業者向け電気通信利用役務の提供)
5-8-4 事業者向け電気通信利用役務の提供とは、国外事業者が行う電気通信利用役務の提供で、その役務の性質又は当該役務の提供に係る取引条件等から当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものをいうのであるから、例えば、次に掲げるようなものが該当する。(平27課消1-17により追加)
(1) インターネットのウエブサイト上への広告の掲載のようにその役務の性質から通常事業者向けであることが客観的に明らかなもの
(2) 役務の提供を受ける事業者に応じて、各事業者との間で個別に取引内容を取り決めて締結した契約に基づき行われる電気通信利用役務の提供で、契約において役務の提供を受ける事業者が事業として利用することが明らかなもの
(注) 消費者に対しても広く提供されるような、インターネットを介して行う電子書籍・音楽の配信又は各種ソフトウエアやゲームを利用させるなどの役務の提供は、インターネットのウエブサイト上に掲載した規約等で事業者のみを対象とするものであることを明示していたとしても、消費者からの申込みが行われ、その申込みを事実上制限できないものについては、その取引条件等からは事業者向け電気通信利用役務の提供に該当しないのであるから留意する。

法2条の定義だけを読んでもよく分かりませんが、通達で補完すると何らかの著作物をインターネットを経由して提供することなどが電気通信利用役務の提供に該当し、資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供をネット経由で行ってもそれは電気通信利用役務の提供には該当しないということですね。
私の場合、アマゾンが私の書籍を日本でネット配信する場合はこの電気通信利用役務の提供ですが、私がアマゾンに著作権の譲渡等を行う場合にはこれに該当しないので、ロイヤルティは今までと同じように免税取引(輸出売上)に該当するという事になりますね。


アマゾンやグーグルが絡んだ取引だと、何だか全て今回の電気通信利用役務の提供の課税の見直しの影響を受ける気がしますが、そうでない場合もあるということですよね。
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免税と不課税を間違ってもさほど影響はありませんが、国内課税と不課税を間違うと影響があるので、注意したいと思います。



神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

外注費か給与の判断はやっぱり難しい

先週末、所属する若手税理士の団体の勉強会に出席してきました。
テーマは税理士には永遠のテーマとも言える、「給与と外注費の区分について」。
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小さな会社から大きな会社までこの問題はしばしば関わってくるので、参加者の発言もどんどん飛び出して楽しい勉強会でした。


この議論の中で出てきた資料のうち、面白いなと思ったのが以下の鹿児島地裁の判例です。
国税庁HP「消費税及び地方消費税の更正請求に対してその請求をすべき理由がない旨の通知処分取消請求事件」
内容的には独立してすぐの税理士さんが本業の傍ら専門学校の税理士講座で講師をしていたのですが、その講師報酬を確定申告時には事業所得に含めて申告し、消費税についても課税事業者届出書を自分で出して消費税も申告・納税した後で、講師報酬は給与所得に該当し基準期間の課税売上高が1,000万円以下になるので更正の請求を行ったというものです。
判決文に出てくる「税理士講座レギュラーコース財務諸表論」や「税理士講座上級コース財務諸表論」という単語が、馴染み深くて生々しい感じです(^^;。


判決としては講師報酬は事業所得になり、更正の請求は認められないというものだったのですが、事業に該当するという理由は以下の様な感じです。

  • 一番に当事者が、形式上請負契約か委任契約、それとも雇用契約を結んでいるのかという、形式的な基準で判断する。
  • 当事者双方が契約を請負若しくは委任として認識していたとしても、その取引の実態が、役務の提供者が直接的な指揮命令下において一定時間役務を提供し、対価を得るようなものである場合には、形式的な取扱いのいかんにかかわらず、これを雇用に類する契約とみる。

という前提のもと、

  • 専門学校が、講師料を給与ではなく請負契約に基づく報酬として処理している。
  • 税理士さんも、所得税の確定申告で講師料を事業所得として処理している。

ので、形式的には請負や委任に類する契約であるとされるということになっています。


また取引実態をみても、

  1. 講師料は、一定時間の役務の提供に対する対価というよりは、準備や指導に要する時間も含めた1回の講義を単位として支払われる対価というべきである。
  2. 一定のカリキュラムの設定や共通教材の使用は、資格講座という役務の性質上当然に予定されているのであって、裁量の幅が限定されていることから直ちに税額の転嫁可能性が否定されるような直接的な指揮命令関係が認められるわけではない。
  3. 講師側は講師料について交渉の機会を有していること。講師業務を引き受けるか否かについて、講師側の選択の自由度が比較的高いと考えられること。有資格者であることは一定程度講師料の額に反映するといえることから、講師料に課税した場合に、講師側において、その税額を講師料へ転嫁することがおよそ期待できないといい得るような事情は認められないというべきである。


請負と雇用の区別を考えるとき、提供場所が自社か外注先になるのか、作業時間の指定があるのか、材料や道具は支給されるのか、時間単位で提供されるのかということを考えます。今回のケースの場合、講義場所は専門学校で、講義の時間は指定され、カリキュラムやテキストも先方が準備し、時間単位で報酬を受けるという事実があると雇用かなと判断してしまいそうですが、こういう判断もあるのですよね。
逆に形式的に専門学校が給与として処理して、税理士さんも給与所得で確定申告していたら、結果はどうなったのでしょうか?やっぱり外注費と給与の区別は、ケースバイケースで個別にしっかり考えていかないとダメなのですよね。難しいです・・・。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

「消費税一般課税・簡易課税有利判定シート」を作り直しました

第六種事業を含めたところで消費税の本則課税と簡易課税の有利不利を検討する必要があったので、エクセルの「消費税一般課税・簡易課税有利判定シート」を作り直してみました。
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消費税率を8%で計算できるようにしたのと、第6種の不動産業を追加しています。
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→このエクセルファイルは、こちらのHPからダウンロードできます。

でも聞かれて答えに困るのは、「何でこんな簡易課税って制度があるのですか?」という質問です。
「消費税が導入されたころは売上しか集計できないような事業者もいたから、こんな制度も一緒にできたのでしょうかねえ・・・」と笑い話にしてしまいますが、IT化が進んだ今でもこの制度を続ける必要性はあるのでしょうか?簡易課税制度がなくなってくれたらこんなシミュレーションもしなくていいのに・・・

なんて言いながらも自分自身もこの制度で恩恵を受けているので、なくなって欲しくない気持ちもあるのですけどね(^^;。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

ファイナンス・リースは資産計上すべきかな?

今回初めて4月決算の消費税申告書を作成したのですが、気を使うのは当然課税区分の入力です。

私にとっては実務で初めて経験する税率変更。引き渡し時期や提供時期にも当然気を使いますが、チェックしながら今後どうやって間違いを防ぐか考えないとと今更ながらに感じていました。
特にファイナンス・リース取引は多くの会社で利用するものですし、支払期間も何年にもわたる長いものがほとんどですので、当分の間、課税区分が正しいかどうか意識しておく必要があります。
幸い今回26年4月契約のリース契約というのはなかったのですが、新規契約はもちろん今後どんどん出てきますので、今後どうすればミスをなくすことができるのでしょうか?
リース料方式を続けるなら件数が多い場合、全てのリース料の摘要に契約日を毎回書いておかないと、数年先にきっと間違えてしまいそうな気がします。
根本的な解決方法は、やっぱりファイナンス・リースは契約時資産計上で、契約時に消費税も一括控除ですかねえ。本来そっちが原則ですし(^^;。
もうちょっと考えないと・・・。


※今回手で検算してみましたが、6.3%で計算機叩くのはやっぱり面倒。

10%になったら、これが4列になるのでしょうか?3種類に分けて計算とか、消費税法の受験生も可哀そうですよね・・・。


※納付書を取りに灘税務署まで

私の事務所は3月決算のお客様は1件しかないので、5月はのんびりです。
4月決算も半分以上終わっているし、こんな時間があるときに、何か新しいことを考えないとダメですね。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です