夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

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扶養控除は早い者勝ち

読売新聞のホームページを見た際、「別居中の夫から子供の扶養を外したい」という記事がありました。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/qa/zeikin/20100115-OYT8T00636.htm?from=os2
実際に面倒をみているのは妻なので、扶養控除も妻に変更したいという内容です。


回答は「二人で話し合った上で、手続きをしてください」ということですが、所得税の扶養控除については、話し合った結果決着がつかない場合、早い者勝ちとなります。
国税不服審判所の裁決事例に、実際にこの件で不服申し立てまで行った事例があります。

請求人は、原処分庁が、請求人の長女は請求人及びA(請求人の元夫である。)と生計を一にしており、Aの合計所得金額が請求人の合計所得金額より大きいため、Aの扶養親族にのみ該当するとみなされることから、請求人は長女に係る扶養控除を適用することができないとして所得税の更正処分をしたのに対し、長女は請求人と日常の起居を共にし、請求人がAより多くの養育費を負担して長女の面倒をみているのであるから、長女と生計を一にするのは請求人のみであり、上記更正処分は違法であると主張する。
当審判所の調査によれば、請求人は、Aと別居した直後から現在まで長女と日常の起居を共にし、給与所得を得て長女と日常生活の資を共通にしているのであるから、請求人と長女は、所得税法第2条第1項第34号に規定する生計を一にするものに該当する。
また、Aは、長女と別居した日以降、判決で離婚及び長女の親権が確定する日までの間、金銭を継続して負担していたこと、?請求人は、請求人の給与収入とAからの送金で生計を立てていたことからすると、長女は、Aと別居中であるとはいえ、Aと同一の生活共同体に属して日常生活の資を共通にしているものと認められ、長女は、請求人だけでなくAとも所得税法第2条第1項第34号に規定する生計を一にするものに該当する。
そうすると、長女の合計所得金額は零円であることから、長女は、請求人及びA双方の扶養親族に該当する。
また、請求人及びAは、いずれも長女を扶養親族として給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(以下「扶養控除等申告書」という。)に記載し、それぞれの勤務先に提出しているところ、請求人の方がAよりも先に扶養控除等申告書を勤務先に提出していることが認められることから、所得税法第84条第2項及び所得税法施行令第219条第2項第1号の規定により、請求人の扶養親族となるため、請求人が長女に係る扶養控除の適用を受けることができる。
(平19.12.27 名裁(所)平19-61)

勤務先に先に扶養控除等申告書を提出した方に適用があるという結論になってしまっています。
別居中であれば話し合いもなかなか難しいでしょうけど、「早い者勝ちですよ」なんてアドバイスをしたら争いの火に油を注いでしまうことになりそうな気がしますね(^^;。


※先週東京の税理士tamabarさんにお会いした際、お土産に塩バターキャラメルをいただきました。ありがとうございましたm(_ _)m。

前回岐阜でお会いした際にも、お土産をいただいてもらいっぱなしなので、次回は神戸のお土産持っていきますね!


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