夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

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言葉の皮を剥きながら・・・

参加している税理士さんのメーリングリストで、先日の日記でも思う所を書き散らした「『大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて』の個別通達の改訂についてのパブコメ募集」の件が話題に上る事がありました。

話題の中心は改定案の所得区分についての、以下の項目です。

2 大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得区分
事業所得とは、自己の計算において独立して行われる事業から生ずる所得をいい、例えば、請負契約又はこれに準ずる契約に基づく業務の遂行ないし役務の提供の対価は事業所得に該当する。また、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく役務の提供の対価は、事業所得に該当せず、給与所得に該当する。
したがって、大工、左官、とび職等が、建設、据付け、組立てその他これらに類する作業において、業務を遂行し又は役務を提供したことの対価として支払を受けた報酬に係る所得区分は、当該報酬が、請負契約若しくはこれに準ずる契約に基づく対価であるのか、又は、雇用契約若しくはこれに準ずる契約に基づく対価であるのかにより判定するのであるから留意する。
この場合において、その区分が明らかでないときは、例えば、次の事項を総合勘案して判定するものとする。

このうちの

例えば、請負契約又はこれに準ずる契約に基づく業務の遂行ないし役務の提供の対価は事業所得に該当する。また、雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく役務の提供の対価は、事業所得に該当せず、給与所得に該当する。

こちらの文言が、大工さんたちと請負契約を締結していれば請負契約として取り扱うのではという形式重視の意見と、分かりにくい基準を改めただけで形式にかかわらず今まで通り役務提供の実質で判断するという意見の2つに分かれました。
個人的には、ある程度形式も判断要素に入るのかなとも思いつつ、本質は消費税の1-1-1の通達に合わせて今まで通りの取り扱いをする事を明確にするだけなのかなという印象をもったのですが、読む人によっては「形式重視に移行?」という積極的な解釈をなさる人もいらっしゃるのですよね。


どちらにせよ税理士さんの間でも解釈が分かれる様な通達では、分かりにくいということには変わりありませんね(^^;。
一人の税理士さんがおっしゃった、「人の行動には、その裏側に何らかのベクトルが働いているので、その動機付けとなった経緯を探ってみないと」の通り、課税庁側に何らかの意図が有るのでしょうけど、通達も納税者の意思決定に大きな影響を与えている以上、こういう場合はこうと課税要件は明確にしてもらいたいですね。
まあ、明確にしたら明確にしたで、また裏をかく様な行為がでてくることになるかもしれませんが。


「言葉の皮を剥きながら・・・」。永井路子さんの本のサブタイトルでしたが、通達の文言を解釈する場合にもその裏に何が有るのか考えながら読む必要が有りますね。どんなパブリックコメントが付くのか、ちょっと楽しみです(って他力本願かいっ!\(--;)オイオイ)。


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