夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

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「よくわかる国際税務入門」を読みました

税法学の世界では超有名な、三木義一先生の国際税務へのエントリー本。学生向けですが、私のような駆け出しの税理士にもちょうどいいレベルの本になっています。

よくわかる国際税務入門 (有斐閣選書)

よくわかる国際税務入門 (有斐閣選書)

有斐閣の本はお堅くて重たい本が多い中、この本はトピックごとに法学部の学生とOGである税理士との掛け合いによる問題提起、それに対する三木先生の解説(似顔絵がそっくり(笑))という構成になっていて、非常にテンポよく読むことが出来ました。

内容も非居住者の所得税から始まって、法人税の外国税額控除に移転価格税制、過小資本税制からタックスヘイブン税制や国外関連者の寄付金、様々な場面における国内法の適用の仕方と租税条約の絡め方を平易にくどいぐらいに解説していて、読み終わった頃には国際税務へのアプローチのいろはが分かってくるようになっています。生講義を受けても講義中くすっと笑ってしまうほど面白い三木先生ですが、その著書も読みやすさと内容の濃さのバランスが絶妙で、どの本を買ってもハズレがないような気がします。


しかし国際税務は、本当に複雑ですよね。会計事務所に就職してからは仕事で海外がらみの税務に触れることはなくなりましたが、前に勤めていたスポーツ用品メーカーではしばしば国際取引の税金の問題に突き当たっては悩んでいました。
国税額控除や移転価格税制の問題でも時々悩むことがありましたが、一番頻繁に悩まされたのが、非居住者に対する源泉所得税の問題でした。それぞれに国内源泉所得であるかや国内源泉所得であっても源泉が必要な否か、さらに国によって租税条約で源泉の要否が変わってきたりして、一件一件の処理ごとにうんうんうなされていました。


こんな複雑な国際税務ですけれど、得意分野にしたら税理士としての差別化につながるのでしょうか?先日友人に「何か得意な分野を見つけて差別化しないと、今後生き残っていけないのでは。」といわれてから、何かあるのかなあと色々考えてはいるのですが、悩ましいところです。