夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

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不動産の賃貸契約と消費税の経過措置

今日のニュースを見ていると、やっと消費税の増税が決定したようですね。
政府は4月消費税3%引き上げ方針固める、2%分の経済対策も | Reuters
以前より疑問に思っていたのが、今回の消費税率アップに伴う経過措置が、不動産の賃貸契約に係る賃貸料にどう影響するのかなということです。
事務所などの賃借料がこの経過措置の適用を受けるのか?またいつから税率が変更されるか?消費税率アップは初めての経験ですので、どう対応するのか非常に気になるところです。


今回の消費税法の改正法附則では、以下の様に指定日(25/10/1)までに契約を締結し、施行日(26/4/1)以後も引き続き資産を貸し付ける場合、その税率は旧税率(5%)によるとされています。

改正法附則第五条
(旅客運賃等の税率等に関する経過措置)
4  事業者が、平成八年十月一日から指定日の前日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、施行日前から施行日以後引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている場合において、当該契約の内容が、第一号及び第二号又は第一号及び第三号に掲げる要件に該当するときは、施行日以後に行う当該資産の貸付けに係る消費税については、旧消費税法第二十九条に規定する税率による。ただし、指定日以後に当該資産の貸付けの対価の額の変更が行われた場合には、当該変更後における当該資産の貸付けについては、この限りでない。
一  当該契約に係る資産の貸付けの期間及び当該期間中の対価の額が定められていること。
二  事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。
三  契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないことその他対価に関する契約の内容が政令で定める要件に該当していること。

「一号及び二号」と「一号及び三号」のうち不動産賃貸契約は通常前者に該当しますが、この二号にある「事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。」はどういった内容のことをいうのでしょうか?


不動産賃貸契約書には、通常次のような文言がお約束のように入っています。

(賃料等の改定)
甲は、本件建物に関する公租公課の変動、物価の上昇、経済情勢の変化等があった場合には、賃貸借期間といえども賃料、管理費等を改定できるものとする。

借地借家法の借賃増減請求権を条項にしたものですが、果たしてこれは「事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定め」に該当してしまうのでしょうか?


法令解釈通達は以下のように、契約に借賃増減請求権の定めがなければ、借地借家法の適用があるとしても経過措置の対象になるとしています。

(事情変更等による建物の貸付けに係る対価の変更)
18 建物の賃貸借については借地借家法(平成3年法律第90号)が適用され、同法第32条《借賃増減請求権》の規定により、事情変更があった場合には賃料の増減請求をすることができるのであるが、建物の賃貸借に係る契約において、賃貸する者がその貸付けに係る対価につき増減することができる旨の定めがないときは、その契約は改正法附則第5条第4項第2号《資産の貸付けの税率等に関する経過措置の要件》に該当することに留意する。

ということは裏を返すと、契約に借賃増減請求権の定めがあれば、経過措置の適用はないということなのですよね。


きっとほとんどの契約にはこの借賃増減請求権の定めがあると思いますが、中にはこの定めがない契約もあるのかも。一度契約書をしっかり確認しないとダメですよね・・・。
前回消費税率が上がった際に実務的にどう対応したのか?また一度ベテランの税理士さんに聞いてみようかな。


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