夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

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事業所得と一時所得で不公平なエコカー補助金

今月車を購入したので、本日エコカー補助金を申請してみました。

申請しながらふと疑問に思ったことは、個人事業者が事業用車両を買った場合、そのエコカー補助金の所得区分は何になるのかなということです。


所得税法はその42条で、国庫補助金等で固定資産の取得に充てた金額は「各種所得」の計算上、総収入金額には算入しないことになっています。

所得税法第42条 (国庫補助金等の総収入金額不算入)
居住者が、各年において固定資産(山林を含む。以下この条及び次条において同じ。) の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体補助金又は給付金その他政令で定めるこれらに準ずるもの(以下この条及び次条において「国庫補助金等」という。) の交付を受け、その年においてその国庫補助金等をもつてその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をした場合には、その国庫補助金等の返還を要しないことがその年12月31日(その者が当該取得又は改良をした後その年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時) までに確定した場合に限り、その国庫補助金等のうちその固定資産の取得又は改良に充てた部分の金額に相当する金額は、その者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。


それでは収入金額に算入されないこのエコカー補助金は、一体「何」所得の収入に算入しないのでしょうか?
下記の所得区分に照らすと、事業用車両の購入によって受けることができるエコカー補助金は事業所得、それ以外の車両の補助金は一時所得に該当するのかなと思えます。

所得税法第27条 (事業所得)
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。) をいう。


所得税法第34条 (一時所得)
一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。


所得税法42条は続く第3項で、確定申告書に一定の記載がないと適用がないとされているので、申告をしないと総収入金額に算入されてしまうことになります。

所得税法第42条
3  前2項の規定は、確定申告書にこれらの規定の適用を受ける旨、これらの規定により総収入金額に算入されない金額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。

事業所得の場合には総収入金額に入れられてしまうと、所得の金額に直に跳ね返ってきます。
しかし一時所得の場合には50万円の特別控除額があるため、10万円や20万円の補助金であれば、基本所得の金額には影響しないことになります。



さらに事業所得は、総収入金額に算入しない場合には、下記の施行令のように圧縮記帳を行わなければなりません。

所得税法施行令第90条 (国庫補助金等に係る固定資産の償却費の計算等)
法第42条第1項 又は第2項 (国庫補助金等の総収入金額不算入) の規定の適用を受けた固定資産(山林を含む。以下この条及び次条第2項において同じ。) について行うべき法第49条第1項 (減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法) に規定する償却費の計算及びその固定資産の譲渡があつた場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、次に定めるところによる。
◆1  法第42条第1項 に規定する国庫補助金等により取得し、又は改良した固定資産については、その固定資産の取得に要した金額(山林については、植林費の額。次号において同じ。) 又は改良費の額に相当する金額から同項 の規定により総収入金額に算入されない金額に相当する金額を控除した金額をもつて取得し、又は改良したものとみなす。

なので事業所得の場合、総収入金額にならなくても、償却費が減ってしまうので、結局課税の繰り延べにしかならないんですよね・・・。
一時所得の場合総収入金額になってもならなくても、基本永久免税になるのと比べると、なんだか釈然としませんね(^^;。


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