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夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

非居住者の退職所得についての選択課税

所得税

先日お客様に聞かれてはっと気づいたことに、非居住者への退職金の所得税がどういう取り扱いになるかということがありました。
最終的には居住者と同じ扱いにできるのですが、原則的な取扱いは違っていて、特則で居住者と同じ扱いにできるのですね。恥ずかしながら今まで知りませんでした。


非居住者への退職金は、原則として下記の規定で課税されることになります。

所得税法第161条 (国内源泉所得)
この編において「国内源泉所得」とは、次に掲げるものをいう。
◆8  次に掲げる給与、報酬又は年金
ハ 第30条第1項(退職所得) に規定する退職手当等のうちその支払を受ける者が居住者であつた期間に行つた勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として非居住者であつた期間に行つた勤務その他の政令で定める人的役務の提供を含む。) に基因するもの


第169条 (分離課税に係る所得税課税標準
第164条第2項各号(非居住者に対する課税の方法) に掲げる非居住者の当該各号に定める国内源泉所得については、他の所得と区分して所得税を課するものとし、その所得税課税標準は、その支払を受けるべき当該国内源泉所得の金額(次の各号に掲げる国内源泉所得については、当該各号に定める金額) とする。


第170条 (分離課税に係る所得税の税率)
前条に規定する所得税の額は、同条に規定する国内源泉所得の金額に100分の20の税率を乗じて計算した金額とする。

というわけで租税条約で特段の定めがない限り、非居住者の退職金については、20%の分離課税になります。


しかしこれでは同じ退職所得なのに、居住者と比べてえらく可哀そうということで、この規定があるのですね。

所得税法第171条 (退職所得についての選択課税)
第169条(課税標準) に規定する非居住者が第161条第8号ハ(居住者として行つた勤務に基因する退職手当等) の規定に該当する退職手当等(第30条第1項(退職所得) に規定する退職手当等をいう。以下この節において同じ。) の支払を受ける場合には、その者は、前条の規定にかかわらず、当該退職手当等について、その支払の基因となつた退職(その年中に支払を受ける当該退職手当等が2以上ある場合には、それぞれの退職手当等の支払の基因となつた退職) を事由としてその年中に支払を受ける退職手当等の総額を居住者として受けたものとみなして、これに第30条及び第89条(税率) の規定を適用するものとした場合の税額に相当する金額により所得税を課されることを選択することができる。

とこの規定で、非居住者であっても受給者の選択で、居住者とみなして税額を計算することができるのですね。


実際の手続き的には下記のように、翌年以降に申告書を提出することになるみたいです。

所得税法第173条 (退職所得の選択課税による還付)
第169条(課税標準) に規定する非居住者がその支払を受ける第171条(退職所得についての選択課税) に規定する退職手当等につき次編第5章(非居住者又は法人の所得に係る源泉徴収) の規定の適用を受ける場合において、当該退職手当等につき同条の選択をするときは、その者は、当該退職手当等に係る所得税の還付を受けるため、その年の翌年1月1日(同日前に同条に規定する退職手当等の総額が確定した場合には、その確定した日) 以後に、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出することができる。

ということは受給側は最終的に居住者と同じ扱いになっても、支払側は居住者の場合の「退職所得の受給に関する申告書」みたいな取り扱いはなく、いったん一律20%で源泉徴収しなければならないのですね。
うーん、非居住者の課税関係は難しい・・・。受験で勉強しなかった所得税は、まだまだ勉強したりないところが多いです。


ハーバーランドの駐車場から、雨上がりの夕暮れ。

梅雨が明けたら、いよいよ夏。今年はどれぐらい蒸し暑くなるのでしょう?


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です