夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

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自転車の撤去費用は損金算入?

「自転車撤去されたときの撤去費用や保管料を払った場合、これって損金算入だったっけ?」と同僚に質問を受けました。なぜこんな質問を受けるかというと、税法では不正行為に絡む費用の損金算入に一定の歯止めがあるためです。


法人税法所得税法もですが)は55条で 「不正行為等に係る費用等は損金不算入」というように定められています。

第55条 (不正行為等に係る費用等の損金不算入)
 3  内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
 ◆1  国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税並びに印紙税法 (昭和42年法律第23号) の規定による過怠税
 ◆2  地方税法 の規定による延滞金(同法第65条 (法人の道府県民税に係る納期限の延長の場合の延滞金) 、第72条の45の2(法人の事業税に係る納期限の延長の場合の延滞金) 又は第327条(法人の市町村民税に係る納期限の延長の場合の延滞金) の規定により徴収されるものを除く。) 、過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金

 4  内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
 ◆1  罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はこれに準ずる者として政令で定めるものが課する罰金又は科料に相当するものを含む。) 並びに過料
 ◆2  国民生活安定緊急措置法 (昭和48年法律第121号) の規定による課徴金及び延滞金
 ◆3  私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 (昭和22年法律第54号) の規定による課徴金及び延滞金
 ◆4  金融商品取引法第6章の2 (課徴金) の規定による課徴金及び延滞金

とはいえここの規定は限定列挙。裏を返せばここに載ってきていないものは、列挙されているものと似たような性格の費用でも損金に算入できることになります。
有名なものが社会保険料の延滞金です。地方税の延滞金は上記の規定で損金不算入ですが、社会保険料の延滞金は上記にないので損金算入OKということになります。
同じように交通違反にかかる費用でも、反則金などの罰金は損金不算入ですが同時に発生するレッカー移動代や保管料は損金算入OKということになります。
というわけで今回の自転車の撤去費用も列挙されていないため、業務上生じたものであるかぎり損金算入OKということになるのですよね。



ちなみに久しぶりにここの条文を読み返して、初めて知ったのが次の項目です。

 5  内国法人が供与をする刑法 (明治40年法律第45号) 第198条 (贈賄) に規定する賄賂又は不正競争防止法 (平成5年法律第47号) 第18条第1項 (外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止) に規定する金銭その他の利益に当たるべき金銭の額及び金銭以外の資産の価額並びに経済的な利益の額の合計額に相当する費用又は損失の額(その供与に要する費用の額又はその供与により生ずる損失の額を含む。) は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

袖の下は損金にならないことは明文化されていたのですね。初めて知りました。たまにはナマの条文も読まないと駄目ですね(笑)。

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