夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

水増し請求された側の税務の処理


少し気になることがあったので、先日公開されていたNECの水増し発注の記事を読みました。


東京国税局からの更正通知の受領について
2007年 5月29日
日本電気株式会社


NECはこのたび、東京国税局による平成18年3月期における税務調査を受け、それに基づく更正通知を本日受領いたしました。

今回の税務調査の過程において、社員による個人的な不正取引が発覚いたしました。更正通知によって指摘された不正取引の内容は以下の通りです。

1.税務調査の対象期間: 平成11年度〜17年度(7年間)
2.不正取引の件数・部門数: 5件、5部門
3.不正取引額: 約22億円
4.不正取引の内容: 当社の取引先に対して、その下請先へのソフトウェア・保守・現地調整工事などの水増し発注または架空発注を指示し、取引先を経由して当社から不正に金銭を流出させた上、約5億円を下請先からリベートとして受取り、個人的な飲食費などに使用していた。
5.関与人員: 10名
6.関与取引先数: 17社(下請先含む)


同通知により更正された所得金額は、その他の指摘事項とあわせ約39億6千万円です。なお、納付すべき税額は、過去からの繰越欠損金が減額されるため、今回の法人税等の追加納付は生じません。一方、損益面では、平成19年3月期においては、欠損金減額のうち、交際費認定された税額相当約9億円は法人税等調整額として見積り計上済みであり、過去および将来の損益への影響はありません。


なるほど水増し発注した側の水増し分の金額は、交際費認定されるのですね。
それでは水増し発注された下請け側の会計処理はどうなるのでしょう?
普通に考えると、たとえば通常100円の商品を120円で発注を受けた場合こういった仕訳になるように思われます。
1、販売時の仕訳
   売掛金 120/売上 120円
2、裏金キックバック時の仕訳(まともに伝票起こさないのかもしれませんが・・・。)
   売上割戻し 20/現金 20


さて、問題なのはこの「売上割戻し」が税務上「売上割戻し」で通るのか「交際費等」に認定されるのか?
措置法の基本通達のこの部分は、以下のようなくだりです。

(売上割戻し等と交際費等との区分)
61の4(1)−3 法人がその得意先である事業者に対し、売上高若しくは売掛金の回収高に比例して、又は売上高の一定額ごとに金銭で支出する売上割戻しの費用及びこれらの基準のほかに得意先の営業地域の特殊事情、協力度合い等を勘案して金銭で支出する費用は、交際費等に該当しないものとする。(平6年課法2−5「三十一」により改正)

(注) 「得意先である事業者に対し金銭を支出する」とは、得意先である企業自体に対して金銭を支出することをいうのであるから、その金額は当該事業者の収益に計上されるものである。

①売上高若しくは売掛金の回収高に比例して、
②又は売上高の一定額ごとに金銭で支出する売上割戻しの費用
③及びこれらの基準のほかに得意先の営業地域の特殊事情、協力度合い等を勘案して金銭で支出する費用
の要件を満たせば、とりあえず売上割戻しになるようですが・・・。


とりあえず裏金になることが分かっていれば、上記(注)の「その金額は当該事業者の収益に計上されるものである。」に該当しないので、交際費にされてしまいそうな気がしますが、その事情を知らなかった場合はどうなるのでしょう・・・?
相手方の「水増し請求」の意図を知っていれば、それで水増し分の金額をバックするのであればそれはやはり相手方の歓心を買うことに他ならないし、交際費になるのでしょうか?
「低額譲渡・高価買入」は寄付金、交際費とすぐに結びつくのですが、こういう場合は難しいですね。
今回のNECの場合、NECの社員さんが個人的な飲み食いに使っていたようなので結局課税漏れになっているようですし、下記の通達の絡みからもまず交際費になるような気がします。

61の4(1)−15 次のような費用は、原則として交際費等の金額に含まれるものとする。ただし、措置法第61条の4第3項第2号の規定の適用を受ける費用を除く。(昭52年直法2−33「36」、昭54年直法2−31「十九」、昭55年直法2−15「十三」、平6年課法2−5「三十一」、平7年課法2−7「二十八」、平19 年課法2−3「三十七」により改正)


(9) 得意先、仕入先等の従業員等に対して取引の謝礼等として支出する金品の費用(61の4(1)−14に該当する費用を除く。)