夢見る税理士の独立開業繁盛記

神戸市東灘区で開業している駆け出し税理士の、試行錯誤日記

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16刷になりました!

私が2009年に書いた本、

CD-ROM付 3日でマスター!個人事業主・フリーランスのための会計ソフトでらくらく青色申告

CD-ROM付 3日でマスター!個人事業主・フリーランスのための会計ソフトでらくらく青色申告

ですが、今年16回目の増刷をしていただきました。
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ご購入いただいたみなさま、本当にありがとうございましたm(_ _)m。
個人事業者の帳簿の付け方のマニュアル本で、できるだけ簡単に帳簿を付ける方法を自分の経験を基にまとめたものですが、現在でも個人事業者の他法人のお客様についても、この本を自計化のテキストにしています。

この本ともう一冊の本を書いてから、もう8年・・・。次の本は書いていないのですが、機会があれば書きたいなと思うのは、小さな法人向けの月次決算のやり方や、月次決算の集大成としての決算書・法人税申告書の作り方のマニュアル本です。


私の事務所のお客様は、年一回の決算だけというのが少なく、ほとんどの方が月次か隔月次で帳簿のチェックをさせていただいているのですが、こうしていると期中での業績や納税見込みが把握できることはもちろん、決算の手間も非常に楽なのですよね。
月次では以下のように、B/Sの残高を押さえたうえで、P/Lの内容を確認し、税込経理の場合は消費税も見込み計上しているのですが、
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これぐらいをやっておくと決算での処理は
・帳端の確認
・在庫の洗替えと、貸倒引当金の計上
法人税の確定計上
という感じで、月次決算のおまけ程度の手間で終わってしまいます。
期中で補助科目別の残高を確認できていれば、勘定科目内訳書は会計ソフトからのデータ取込みで一瞬で終わってしまうし、消費税の計算も期中でチェックしていた課税区分を再チェックするだけで、こちらもあっという間に終わってしまう感じです。


こういった月次決算のやり方とメリット、月次決算の延長で本決算と確定申告書を作成することがどれだけ楽かを、うまくまとめて形にしてみたいなと思うのですが、思うだけで増えてきた本業の方に手を取られて、そう思うだけで終わってしまっています(^^;。
やりたいと思いながらなかなか実行できなくなってきたのは、歳をとってきたのかなあ…。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

領収書を付けるのか?付けないのか?

前回の日記に引き続いて、所得拡大促進税制のエクセルシート作成の話。
給与の集計に合わせて、教育訓練費の明細書も一緒に作成できるよう、入力フォームの案を検討中です。
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教育訓練費の増加による上乗せの規定の適用を受けるためには、以下のような項目を記載した書類の添付が必要なのですが、

租税特別措置法 第五条の十二
6 施行令第五条の六の四第十六項に規定する財務省令で定める書類は、法第十条の五の四第一項又は第二項の規定の適用を受けようとする年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される同条第一項第三号に規定する教育訓練費の額及びその年における同条第三項第十号に規定する比較教育訓練費の額又は同項第十一号に規定する中小企業比較教育訓練費の額に関する次に掲げる事項を記載した書類とする。

  1. 施行令第五条の六の四第十五項各号に定める費用に係る教育訓練等の実施時期
  2. 当該教育訓練等の内容
  3. 当該教育訓練等の対象となる法第十条の五の四第三項第一号に規定する国内雇用者の氏名
  4. その費用を支出した年月日、内容及び金額並びに相手先の氏名又は名称

中小企業庁の手引きの記載例には「その費用を支出した年月日、内容及び金額並びに相手先の氏名又は名称」は、明細に記載する代わりに領収書を添付する形で例示されているのですが、申告書に領収書のコピーを該当枚数添付するのは面倒そうに思えてしまうのは私だけでしょうか?
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領収書をコピーするぐらいなら、明細の方に支払日と金額と支払先を入力する方が楽そうじゃないのかなあ・・・。あと参加者も別途名簿を作成するよりは、明細に一緒に書いてしまった方が楽なような気がするし。うーん、どうなんだろ?


※先週末は古い友人と新宿御苑に、「君の名は。」の聖地巡礼(?)に。
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おしゃれな雰囲気の中、いろいろな話に興じていたのですが、

この年になるとマイホームの話も子供の話も周回遅れで経験談を聞くような感じで、人それぞれだとは分かっていても、何となく焦っている自分もいるんですよね。
娘が20歳の時は還暦越えか・・・。がんばらないと!


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

一から作り直す方がかんたんな場合も

以前の日記で書いた平成30年4月以降開始事業年度に対応する、エクセルの所得拡大促進税制の計算シート。
空き時間にボチボチと作っているのですが、計算方法がそれまでのものとかなり変わるので、最初から作り直しています。


給与計算ソフトから吐き出したデータをそのまま貼り付けられるように、従業員情報と給与金額の入力シートを一枚にしてみたのですが、その際に前のバージョンを自分で使って気づいたことや、使用者の方からいただいたご意見もちょこちょこっと反映させています。
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例えば従業員情報の場合、役員や特殊関係者はそもそも入力しなかったり、国外の勤務者や継続雇用制度の対象者はほとんど該当する人がいなかったりするので、非該当や該当を自動で一括入力する機能をつけてみました。
左端のボタンを押すと、名前を入力した人全員に一律に該当・非該当が入力されます。

所得拡大促進税制計算シートの従業員情報
他にも従業員の名前を入れ替えた場合に、今まで入力されていた情報が自動でクリアされるようになっています。


あと給与額を入力する欄は、賞与を3回以上入力できるようにしたいといった意見や、助成金などの控除額を入力する欄が欲しいというご意見があったので、その欄を追加しています。
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一度作成したマクロに機能を追加する場合、最初から作るより簡単そうに思えるのですが、実際は前の機能と整合性が取れているかのチェックとか思いがけないところで発生するバグの確認とかで、最初から作るより面倒だったりすることもあるのですよね。
プロは後で機能を追加することなども考えて最初からメンテナンスしやすく作っているのでしょうけど、私のような素人が半分趣味で作る場合には結構行き当たりばったりなので、後から変更するのが地味に大変だったりします。
私の事務所のHPで公開している「給与・賞与・年末調整自動計算シート」も、機能を追加追加でツギハギで作成してしまったので、今年のように年末調整の計算が結構変わった場合にはメンテナンスが大変なのですよねえ…。
データベース型のソフトに一から作り直した方がいいかなと思いながら、未だ手つかずです。


※最近Pythonの勉強と中学生以来の電子工作を始めたいなと、Raspberry Piを買おうか思案中。(中学生のころははんだ付けが絶望的に下手でしたが、今は便利なブレッドボードがあるし)

ただRaspberry Piを使って、具体的に何かしたいってことはないのですよねえ。
ExcelのマクロやVBAは「仕事楽に早く終わらせて、定時で早く帰りたい!」というのが、強力な勉強のモチベーションになったような気がしますが、こういうモチベーションがないと勉強続かないかなあ・・・。

こういうコミックを読むと、とにかく始めてみようかって気分になりますね^^;。



神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

やってよかった宅建士受験

今月初めに受講した、宅建士の実務講習。
仕事上宅建士の登録をしても特に意味があるわけではないのですが、せっかく試験に合格したし実務講習で何か新しい知識が得られるかなと2日間専門学校に通って、何とか無事合格することができました。

宅建士の勉強は昨年マイホームを建てることを決めた際に、どうせならこの際不動産周りの法律をしっかり勉強しようと始めたのですが、勉強を終えてみると今までふわっとしか理解できていなかった土地の評価に関する知識が一つにつながったことが一番の収穫だったかなという感じです(宅建業法などもそれなりに面白かったですが・・・)。


税理士試験は一応相続税法で合格しているのですが、当時一般企業勤務で相続税の実務に触れることなく勉強していたので、財産評価のところでは「市街化地域と市街化調整地域」、「地役権」、「都市計画道路」、「セットバック」といった減額要因の話は、問題に書いてある通り解答するだけで、内容についてはよく分からないまま終わってしまっていました。
合格後もある程度は勉強したのですが、宅建試験の受験で都市計画法建築基準法農地法不動産登記法といった不動産の評価に必要な法律を改めて体系的に学んだおかげで、以下のようなポイントを踏まえて財産評価の研修を受けると、理解度は以前より格段に上がっているような感じです。

資産税をやるためには、やっぱり不動産周りの法律の勉強は必須ですよね。宅建士の勉強はやってよかったと思うとともに、不動産評価にこれだけ役立つ知識が得られるのなら、もうちょっと早めに勉強しておいたら良かったなあと思ってしまいます。
とはいえ資産税はできればあまりやりたくないなというのが、本音なのですが・・・。経理上がりで会計の仕事の方が好きってこともありますが、やっぱり不動産評価一つとっても資産税、奥が深すぎる・・・。


ちなみに実務講習では不動産屋さんが不動産売買の媒介を依頼されたという前提で、対象不動産の調査から始まって売買契約書や重要事項説明書を作成するまで、どうやって机上調査、役所調査、現地調査を行っていくかの具体的な方法を教えてもらえたのが良かったですね。
特に今では都市計画図からガス管の配置図まで、ネットでの机上調査で取得できる情報がかなり多くなっているんですよねえ。
不動産価格の査定額を計算するパートでは、価格を検討する際の参考情報として以下の国土交通省の統計情報を利用する方法も教えてもらったのですが、
www.land.mlit.go.jp
さっそく私の事務所近辺で、中古マンションを売ったらどのくらいなのかなということを調べる機会があったので試してみました。
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物件などは特定できないようになっているのですが、ざっくり直近の傾向がパソコン叩くだけで見ることができるのは本当に便利ですよね。
不動産の価格調査は税理士業務には直接関係ないことですが、お客様との話のネタにはいろいろと利用することができそうです(*^^*)


※平均価額を地図に落とし込んでみても、何となく傾向がつかめて面白いですね。

六甲アイランドと渦が森って、大体一緒ぐらいなんですね。ちょっと意外な感じです。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

2年間継続して給与支給があるから、継続雇用者って訳にも行かないですね

30年4月1日開始事業年度から制度が変わる「所得拡大促進税制」(大企業は設備投資も要件になるから「賃上げ・生産性向上のための税制」というようですね)ですが、「中小企業向け所得拡大促進税制」のガイドブックが中小企業庁のホームページに掲載されていたので、確認してみました。
中小企業庁:積極的な賃上げに取り組む企業を応援します(中小企業向け所得拡大促進税制)


中小企業向け所得拡大促進税制は、以下のように
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基本は

  • 継続雇用者の給与が前期比1.5%以上で、増加額の15%の税額控除

さらに継続雇用者の給与が前期比2.5%以上で、かつ以下のいずれかの条件を満たすと増加額の25%の税額控除になるのですよね。

  • 教育訓練費が前期比10 %以上増加
  • 中小企業等経営強化法に基づく力向上計画の認定を受けており、経営力向上が確実に行われている


とりあえず新しい制度でも、国内雇用者に対する給与等を集計後、継続雇用者に対する給与等を抜き出さないとダメなので、
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  1. まず国内雇用者に該当しない、役員等と国外勤務者の給与を抜いて集計した後、
  2. 継続雇用者の給与を抜き出して集計する

という二段の作業が必要になりますね。


継続雇用者は、以下の黄色のようなケースの人が該当するので、
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たとえ二年間継続して毎月給与支給があっても、

  • 雇用保険一般被保険者でなかったり、一般被保険者でない期間が一部ある場合
  • 継続雇用制度の対象である期間がある場合
  • 高年齢被保険者の期間がある場合

には、これらの人は継続雇用者に該当しないとして抜かないとダメですよね。


以下のような給与ソフトの生データを貼り付けたら、すぐに集計できるかなと思っていましたが、思っていたより面倒くさそう・・・。
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従業員情報から雇用保険の情報は吐き出せますが、雇用保険一般被保険者の判定にこれを紐づけて使うぐらいならば、従業員名簿見ながら手打ちした方が早そうですし。
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もうちょっとやり方を考えてみたいと思います。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です

争点整理表と税務調査での法的思考と・・・

私の所属する近畿税理士会芦屋支部で、11月に税務調査とその際に調査官が作成している「争点整理表」についての研修を開催していただくことになりました。
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講師は国税不服審判所の審判官も務められた、税理士の佐藤善恵先生。芦屋支部の調査研究委員会で年次の研修計画を立てる際、メンバーの一人から佐藤先生の本を読んで講義を是非聞きたいとの希望があったので、先生に講師を打診したところご快諾いただいて開催の運びとなりました。


研修のテーマである争点整理表とは具体的に以下のようなものですが、「作成理由」の欄にあるような問題がある場合に、税法に定められた課税要件を明らかにして、その上で課税庁と納税者の主張する事実や証拠を対比して、どちらの方が課税要件を満たしているかまたは満たしていないかを検討するのに便利な整理表といった感じですよね。
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法律を実社会で適用する場合の考え方で「法令解釈、事実認定、当てはめ」の法的三段論法というものがありますが、これを税務調査の争点整理に持ち込んだ感じでしょうか?
政策などに左右されることもある税法は、他の法律に比べて一段下に見られることもあるという話も聞きますが、税務調査で法的な考え方が尊重されるようになったというのは、何となく税法の格が上がったような印象を受けますね(^^;。


また争点整理表について学ぶことで調査官の視点や気苦労も垣間見えるということですが、大阪国税局の研修資料にもこんな図があるように、法的三段論法を意識した調査を行うことが指導されているんですね。
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税法に定められた課税要件を確認して、課税要件に当てはめられそうな事実をピックアップして、それを裏付けられる証拠を見つけて収集していくということが調査官の思考であるならば、それに視点を合わせたり反対側から視てみたりすることもできるようになるのかしらん。

私自身税務調査の場数はまだまだ少なく、到底スマートな対応ができているような気がしないので、この研修で少しでもレベルアップを図りたいところです。がんばらないと!


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